相続登記とは?かかる費用や内訳、専門家に依頼するメリットを解説

相続登記の費用、メリット

最終更新日 2025年4月22日

不動産の所有者が亡くなり、相続が発生した場合には相続登記を行わなければなりません。

相続登記を行うにあたって、「どれくらい費用がかかるのか」「専門家に依頼した方がいいのか」など疑問や心配をお持ちではないでしょうか。

相続登記には登録免許税や書類の取得費用、交通費などがかかり、専門家に依頼する場合は報酬も必要です。

実際にどれくらい費用がかかるかは、不動産がある地域や不動産の数によっても変わります。

相続登記で失敗しないためにも、相続登記について正しい知識を持っておきましょう。

この記事では、相続登記の概要や費用、内訳、専門家に依頼するメリットなどを紹介します。

相続登記とは?

相続登記とは相続登記とは、土地や建物などの不動産所有者が亡くなった場合に、その不動産を取得した相続人に名義変更するための手続です。

ここでは、相続登記の対象となる財産や必要性、期限、申請先などを解説します。

相続登記の対象となる財産

相続登記の対象となる財産は、相続によって取得した土地や建物、不動産に関わる権利などがあります。

相続登記は相続によって所有権を取得した者に必要であり、所有権の登記名義人以外の相続は対象外です。

不動産の所有者が誰であるかは法務局で管理されている登記簿謄本に記録されていますが、所有者が亡くなったからといって法務局が名義変更をするわけではありません。

そのため、不動産の相続を受ける者は法務局で相続登記を行い、名義変更を行う必要があります。

相続登記の必要性

相続登記が必要になる理由は、不動産の所有者が不明確になることにより、争いやトラブルを防ぐためです。

相続登記が行われずに、所有者が特定できない空き家や空き地が増えると、適切に処分を行うことができず、不動産取引や都市開発の妨げにもなります。

以前は相続登記が義務化されていませんでしたが、2024年4月1日から相続登記が義務化されているため注意しましょう。

また、相続登記の義務があるにもかかわらず、放置すると以下のようなリスクがあります。

  • 遺産分割協議が難航する
  • 相続した不動産が差し押さえられる可能性がある
  • 必要書類の入手が難しくなる
  • 不動産の売却ができなくなる

相続登記の放置にはさまざまなリスクがあるため、不動産を相続したら早めに相続登記の準備を進めることが大切です。

相続登記の期限

相続登記の期限は、相続によって不動産の取得を知った日から3年以内に行う必要があります。

遺産分割が成立したことで不動産を取得した場合、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

正当な理由なく期限内に相続登記を行わなかった場合、法務局から一定の期間内に申告すべき旨の催告が行われます。

この催告に応じなかった場合は、10万円以下の過料が科せられることになるため注意しましょう。

なお、遺言の有効性や遺産の範囲などで争いが起こっている場合や、相続人自身に重病などの特殊な事情がある場合は期限が切れても過料が発生しません。

また、2024年4月1日より以前に相続が開始している場合、3年の猶予期限があるものの義務化の対象となっています。

 

相続登記の申請先

相続登記の申請先は法務局で、登記官が書類をチェックして審査し、問題がなければ登記が完了します。

法務局は不動産の所有地ごとに管轄が決まっているため、不動産を管轄している法務局で申請を行わなければなりません。

管轄外の法務局に申請しても受付してもらえないため、事前に対応している法務局を確認しておきましょう。

複数の不動産を相続し、不動産の所有地が異なっている場合は、それぞれの不動産を管轄する法務局で手続が必要です。

相続登記にかかる費用と内訳

相続登記の費用と内訳相続登記には、登録免許税、書類の取得費用、交通費・郵送費、司法書士費用がかかります。

ここでは、それぞれにかかる費用と内訳を解説します。

登録免許税

相続登記には、登録免許税法に基づいて不動産の所在を明確にするため登録免許税がかかります。

相続登記の際に必要な登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%で、相続人以外の人が遺言により取得した不動産の登記は2%です。

固定資産税評価額は、固定資産税・都市計画税・課税明細書または固定資産税評価証明書で課税標準の確認ができます。

なお、実際に計算を行う際は固定資産税評価額の1,000円未満の端数を切り捨て、課税標準額で計算します。

たとえば、固定資産税評価額が1,000万3,356円であれば、課税標準額は1,000万3,000円です。

この場合だと「1,000万3,000円×0.4%=4万12円」が登録免許税です。

100円未満は切り捨てとなるため、実際に納める費用は4万円となります。

なお、相続登記が未了で数次相続が発生している場合や、不動産の固定資産税評価額が100万円以下の場合は登録免許税が不要です。

書類の取得費用

相続登記を行うにあたって、区市町村の役場で証明書を発行してもらう必要があり、その際に取得費用がかかります。

相続登記で必要となる書類の種類と発行費用は以下の通りです。

  • 住民票の写し:1通200円~300円
  • 印鑑証明書:1通200円~300円
  • 固定資産評価証明書:1通200円~400円
  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍謄本:1通750円
  • 戸籍の附票の写し:1通300円
  • 改製原戸籍謄本:1通750円

証明書1通あたりの金額はそこまで大きくないものの、複数の書類が必要となったり、同じ証明書を複数通取得しなければならなかったりする場合があります。

代襲相続や数次相続のように手続が複雑になる相続では、戸籍謄本だけで数十通になる場合もあります。

交通費・郵送費

交通費や郵送費は、証明書を取得するために市区町村の役場に行く場合や、手続をするために法務局に行く際の費用です。

公的書類を郵送によって取得する場合や、登記に必要な関連書類を添付して郵送する際も、郵送費の実費がかかることになります。

不動産がある地域を管轄している法務局での手続が必要となるため、遠方の不動産を相続する場合は交通費も高くなる可能性があります。

ただし、相続登記の手続はオンラインや郵送でも可能であるため、これらの方法を選ぶと費用を抑えることも可能です。

なお、相続登記を司法書士に依頼する場合は、事務所に出向くための交通費や、司法書士に来てもらうための交通費が別途かかることもあります。

司法書士費用

相続登記を司法書士に依頼した場合、司法書士費用として5万円〜20万円がかかります。

費用に幅がある理由は、相続の事例ごとに相続登記の難易度が変わってくるためです。

相続関係が複雑になっている場合や、不動産の所在地が管轄する法務局が複数の場合などは、費用も高くなる傾向にあります。

また、司法書士費用の定め方は事務所によって異なるため、詳細の費用は事前に確認しておきましょう。

自分で相続登記する場合の費用

自分で相続登記する場合の費用相続登記は自分で法務局に足を運んで手続を行うことも可能です。

ここでは、自分で相続登記をする場合の費用やリスクなどを解説します。

自分で相続登記する場合にかかる費用

自分で相続登記をする場合にかかる費用は、登録免許税、書類の取得費用、交通費・郵送費です。

司法書士費用がかからない分、自分で相続登記を行う場合は費用を抑えられるメリットがあります。

また、司法書士に相談するにあたって、事務所に出向く際の交通費や、司法書士に来てもらうための交通費もかかりません。

自分で相続登記するのは労力と時間がかかる

相続登記を自分で行うことは可能である一方、労力と時間がかかる点に注意する必要があります。

相続登記は必要書類から申請書の書き方まで、あらかじめ決められたルールに沿って行わなければなりません。

丁寧に下調べを行って、実際に必要になる書類を不足なく集め、正確な申請書を作成するためには多くの時間を要することになります。

そのため、自分で相続登記を申請したものの、間違いがあって何度も申請をやり直すことになったという状況に陥る可能性もあります。

自分で相続登記する場合の法的リスク

自分で相続登記をすることは労力と時間がかかるだけでなく、登記漏れなどの法的なリスクがある点にも注意しなければなりません。

登記漏れとは、本来登記すべき不動産を見逃した状態で相続登記を行うことです。

たとえば、相続登記を行う不動産がアパートの場合に、専有部分だけでなく共有部分の登記も必要になるケースがあります。

共有部分については被相続人自身が把握していないこともあり、相続登記の際に見落としてしまう可能性があります。

登記漏れがあった場合、物件の売却に問題が生じることや、過料の対象となることもあるでしょう。

登記漏れが発覚した場合、書類の再提出や修正申告が必要となるため、結果的にやり直すことになって多くの時間が取られることになります。

相続登記を専門家に依頼するメリット

相続登記を専門家に依頼するメリット自分で相続登記を行うことはリスクも伴うだけでなく、さまざまなトラブルが発生する可能性もあるため、専門家に依頼することをおすすめします。

なお、相続登記の専門家は司法書士です。

弁護士事務所では、相続登記を提携する司法書士に任せ、相続トラブルを弁護士が対応するなど、分業しているケースも多くあります。

ここでは、相続登記を専門家に依頼するメリットを解説します。

複雑な遺産分割協議や対立にも対応できる

相続登記を専門家に依頼することで、複雑な遺産分割協議や対立にも対応できるメリットがあります。

特に弁護士事務所に依頼すると弁護士が相続人の代理人となり、他の相続人との間の交渉をスムーズに行うことが可能です。

遺産分割協議や対立が起こっている際にも、法律に基づいた冷静な対応で、感情的な対立を回避して円満な解決を目指すことができます。

相続に関するトラブルを解決した後、連携している司法書士がスムーズに相続登記を進めます。

トラブルやリスクを回避できる

相続登記を専門家に依頼することで、相続登記に関するトラブルやリスクを回避できるメリットがあります。

自分で相続登記を行う場合は、登記漏れやそれに伴う不動産トラブルに巻き込まれる可能性もあります。

現在は相続登記が義務化されていることもあり、義務を果たすためにも適切なタイミングで正確な手続が必要です。

また、トラブルに巻き込まれると相続登記に費やす期間も長期化し、専門家に依頼する場合よりもコストがかかる可能性もあります。

このようなリスクを回避するためにも、相続登記は専門家に依頼するのがおすすめです。

スムーズな手続ができる

専門家に相続登記を依頼することで、手続をスムーズに進められるメリットがあります。

弁護士や司法書士は相続手続に関する法律や制度を熟知しており、複雑な手続でも迅速かつ正確に行うことが可能です。

また、相続登記に必要になる戸籍の収集や遺産分割協議書の作成などもまとめて任せられます。

なお、弁護士や司法書士には得意分野があり、相続登記に関する依頼は相続に強い専門家に依頼することが大切です。

まとめ

相続登記は、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産を相続する際に必要となる手続です。

相続登記は不動産がある地域を管轄する法務局での手続が必要となり、戸籍謄本や住民票などさまざまな書類も必要となります。

相続登記には専門的な知識が必要であり、ミスによるやり直しや登記漏れのリスクもあるため、慎重に行わなければなりません。

トラブルを防止しつつ、効率よく相続登記を進めていくためには、相続に特化した専門家に依頼することをおすすめします。

相続に特化している弁護士事務所であれば、相続に関するトラブルに弁護士が対応しつつ、連携している司法書士に相続登記を進めてもらうことも可能です。

相続でのお困りごとなら、相続に強みを持つ弁護士法人ひいらぎ法律事務所におまかせください。

当事務所は、兵庫・姫路密着で多数の相談実績があり、弁護士は家事調停委員として多くの調停に携わっています。

相続登記についても地元の司法書士と連携しているため、ワンストップでの解決が可能です。

まずはお気軽にお問い合わせください。

最終更新日 2025年4月22日

弁護士紹介(監修者)
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学経済学部卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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