借金や債務は遺産分割できるか?

借金や債務は遺産分割できるか?

「多くの遺産を承継する相続人に多くの借金を承継させることができないか」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、債務は遺産分割できるのかどうかについて解説します。

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債務の種類

借金や債務は遺産分割できるか?2債務には、可分債務と不可分債務があります。

債務とは、「特定人から特定人に対し、一定の財産上の行為を請求される義務」のことです。

債務の内容が分割可能なものは「可分債務」、分割不可能なものは「不可分債務」と呼ばれています。

この点について、民法428条は不可分債権・債務について「債権の目的がその性質上不可分である場合」と規定しています。

いわゆる借金は、「金銭債務」に該当します。

この金銭債務は可分債務のさいたるものです。

これに対し、不可分債務のさいたるものは、目的物を引き渡す義務や登記手続をする義務になります。

不可分債務の相続

不可分債務は、分割することができない性質の債務ですから、相続人全員に不可分的に帰属することになります。

この点について、民法430条は不可分債務について連帯債務の規定を準用していますので、不可分債務の相続人は、全相続人が共同して、あるいは各相続人が全相続人のために債務の履行をすることになります。

したがって、遺産分割によって不可分債務の債務者を特定の相続人にすることはできません。

仮にそのような内容の遺産分割をしたとしても相続債権者に対抗することはできませんので、相続債権者は、そのような遺産分割を無視して、相続人の1人に対し又は全ての相続人に対し、同時にもしくは順次に、債務の全部又は一部の履行を請求することができます。

可分債務の相続

借金や債務は遺産分割できるか?3可分債務の相続については、①分割説、②合有説、③不可分説の3種類の学説が存在します。

分割説とは、相続開始とともに相続分に応じて法律上当然に分割されるというものです。そのため、それぞれの相続人はそれぞれが承継した債務の範囲内での履行義務を負うだけで済みます。

合有説とは、全ての相続人は相続債務について一体となって相続債務の全額を負担するというものです。そのため、相続債権者は、全ての相続人に対して履行を請求しなければなりません。

不可分説とは、遺産分割によって最終的な配分が確定するまでの相続債務は性質上不可分な債務であるというものです。

この考え方によれば、各相続人は相続債務の全額について履行義務を負うことになります。

この点について、最高裁判所昭和34年6月19日判決は、相続債務が連帯債務であっても法律上当然に分割され、それぞれの相続人はそれぞれが承継した債務の範囲内で本来の債務者と共に連帯債務者となるとの判断を示していますので、分割説を採用したものと考えられています。

また、家庭裁判所における実務の指針となっている「遺産分割事件の処理をめぐる諸問題」(司法研修所編、法曹会)は、金銭債務について「相続開始と同時に当然分割されて、法定相続分により各相続人が負担する。」「原則として、遺産分割の対象とならないというほかない。また、当事者の合意があっても、これを分割の対象とすることは、債権者との関係を調整しなければならないので許されない。遺産分割の対象となるのは、積極財産のみである。」としています。

ただし、同書は、債権者の同意があれば、相続人の1人に全ての債務を負担させること(免責的債務引受)は可能であるであるとしており、その現実的な例として住宅ローンを挙げています。

そのため、例えば、住宅ローンが残っている不動産を住宅ローンが付いたまま特定の相続人に承継させたいときは、事前に金融機関と交渉して不動産の所有権を取得する相続人が単独で住宅ローンの債務者になることを同意してもらうことができれば、他の相続人は住宅ローンの支払義務を免れることになります。

金融機関としても、抵当権を設定している不動産の時価よりもローン残高が低ければ、返済が滞ったとしても不動産を売却することで回収ができることから、不利益はありません。

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まとめ

相続債務については、債務の性質上分割ができるかどうかによって、相続人全員に帰属するか、相続分に応じて法律上当然に分割されるかが決まりますので、遺産分割の対象とすることはできません(仮に遺産分割の対象にしたとしても、他の相続人は、相続債権者に対し、遺産分割によって債務者となった他の相続人に履行請求してほしいと求めることは許されません)。

そのため、多くの遺産を承継する代わりに多くの借金も承継してもらおうというスキームは、その相続人が約束どおり債務を履行してくれればよいのですが、その相続人が債務の履行を怠ると、遺産をもらわなかった他の相続人が相続債権者から請求を受けてしまうというリスクがあります。

このように相続債務には上記のような注意点があります。

相続についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
開所以来、姫路エリアに密着し、離婚、相続などの家族問題に注力して10年以上。現在、神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。

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