特定財産承継遺言で代襲相続が認められるか?

特定財産承継遺言で代襲相続が認められるか?

最終更新日 2022年10月2日

「特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言を作成したものの、その相続人が自分よりも先に死亡したときはどうなるのだろうか」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、特定財産承継遺言で代襲相続が認められるかどうかについて解説します。

特定財産承継遺言とは

特定財産承継遺言で代襲相続が認められるか?2特定財産承継遺言とは、「遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言」(民法1014条2項)のことです。

具体的には、「別紙目録記載1の土地は、長男Aに相続させる。」と遺言書に記載すると、特定財産承継遺言(特定の相続財産である土地を特定の相続人である長男に相続させる旨の遺言)をしたことになります。

上記のケースで、遺言者が死亡した時点で長男が生存していれば、別紙目録記載1の土地は遺言者の意思どおり長男のものになることから何も問題はないのですが、遺言者が死亡するよりも前に長男が死亡したとき、この土地は長男の代襲相続人のものになるのか、あるいはこの部分の遺言は無効になって相続人による遺産分割の対象になるのかが問題となります。

ここで代襲相続とは、相続開始と同時かそれより前に、相続人となるべき者(被代襲者)が死亡、相続欠格、廃除によって相続権を失ったとき、その者の直系卑属がその者が受けるはずだった相続分を承継することを認める制度のことです。

代襲相続ができるのは、被相続人の子の直系卑属(孫やひ孫。民法887条2項、3項)と兄弟姉妹の子(甥姪。889条2項、901条2項)に限定されます。

被相続人の子の直系卑属は再代襲ができますが(被相続人の子A、Aの唯一の子B、Bの唯一の子Cがおり、AとBが被相続人の死亡時に既に死亡しているときは、CがAの相続分を承継することになります。これを「再代襲」と言います)、被相続人の甥・姪の子は再代襲ができません。

このように、遺言者が死亡するよりも前に長男が死亡したときは、長男の直系卑属が長男の代襲相続人となって長男の相続分を承継することになるため、遺言によって別紙目録記載1の土地を長男が相続する地位を長男の代襲相続人が承継するかどうかが問題となります。

最高裁判例

特定財産承継遺言で代襲相続が認められるか?3この点については、最高裁判所平成23年2月22日判決があります。

該当部分を引用します。

「「相続させる」旨の遺言をした遺言者は、通常、遺言時における特定の推定相続人に当該遺産を取得させる意思を有するにとどまるものと解される。したがって、上記のような「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である。」

この判決によれば、遺言者よりも先に長男が死亡したときは、原則として遺言の該当部分は失効し、別紙目録記載1の土地は遺言がないものとして相続人による遺産分割の対象になることになります。

ではどうするか?

このように、特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の特定財産承継遺言をすると、特定の相続人が遺言者よりも後に死亡すれば遺言者の意思どおり特定の遺産を特定の相続人に取得させることができますが、特定の相続人が遺言者よりも先に死亡するとその部分は無効になって遺産分割の対象になり、特定の遺産の取得者は遺産分割協議、調停、審判によって決められてしまうことになります。

そこで、特定の遺産を相続させたい相続人が第1候補者のほかにも存在するのであれば、第1候補者Aが遺言者よりも先に死亡したときには第2候補者Bが相続し、第1候補者Aと第2候補者Bのどちらも遺言者よりも先に死亡したときは第3候補者Cが相続するというように、遺言書にしっかりと明記しておく必要があります。

まとめ

このように、特定財産承継遺言において代襲相続は認められませんので、特定の遺産をどうしても特定の相続人ないしその相続人の子や孫などに相続させたいのであれば、特定の相続人が自分よりも先に死亡したときに備えた記載を遺言書でしておく必要があります。

遺言についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

最終更新日 2022年10月2日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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