孫に遺産を相続させたい!トラブルを回避して円満に財産を受け渡す方法とは?

孫に遺産を相続させたい! トラブルを回避して円満に財産を受け渡す方法とは?

孫に対して自分の財産を残したいと考えた場合どのような方法があるでしょうか。

孫は通常は相続人になることはありません。

ただ、以下の場合、例外的に、孫が相続人になったり、孫に遺産を承継させることができたりします。

孫が相続人になる場合

代襲相続

代襲相続とは、被相続人の子供が被相続人より先に死亡しているため、被相続人の孫が死亡した子供の地位で相続人になることをいいます。

例えば、被相続人がA、Aの子がBC2人で、うちBはAより前に死亡している場合にはBの子(Aの孫)がいればその子がBの立場で相続人となることをいいます。

この代襲相続の場合には孫が相続人とはなりますが、孫に相続させたい時に意図して取れる方法ではないので参考までに解説しておきました。

養子縁組

孫に遺産を相続させたい! トラブルを回避して円満に財産を受け渡す方法とは?2養子縁組は、法律上親子の関係を成立させる規定で、養子になる人が成人、養親になる人が成人であれは単独でできます。(ただし、配偶者がいれば同意が必要)

養子が未成年の場合には養親に配偶者がいれば家庭裁判所の許可を得て夫婦が共同して縁組する必要があります。

令和4年4月1日より成人年齢層が引き下げられましたが養親になるには20歳以上(または20歳以下で過去に婚姻歴がある人)でなければなりません。

さて、親族関係で養子縁組をすることはできるのでしょうか。

「養子が養親の尊属でないこと」が要件となります。

尊属とは上の世代を指しますから、親・祖父母・叔父叔母を養子にすることはできません。

特に叔父叔母は親の世代の離婚再婚などで甥や姪が歳上になるケースもありますが、たとえ歳上であっても上の世代の叔父や叔母が甥や姪の養子になることはできません。

今回のテーマの祖父母と孫の養子縁組については基本的に問題なくできます。

例えば、Aに配偶者BとCD2人の子がおり、Dの子Eと養子縁組した場合にはAの子はCDEの3人となり、Aの遺産相続についてEはCDと同様の権利を有することになります。

ちなみにこの場合、Dの子供でもあるEはDが死亡した際の相続権は消滅さずに維持されますから、簡単に言えば法律上の親が増えることになります。

つまり、この養子縁組を利用することで自己の財産を孫に承継させることができます。

ただ、子供が増えることになりますから、他の相続分が減ることになる子供のケアは何かしらしておく必要があるかもしれません。

孫が相続人として祖父母の遺産を承継できるのは上記のケースになります。

孫が相続人でなくても財産を承継させる方法

ただ、孫が相続人でなくても、以下のとおり、財産を承継させる方法があります。

遺贈

遺贈とは、遺言の中で「自分が死亡したら財産は〇〇に承継させる」という内容を記載することです。

この場合は、不動産だけとか預貯金だけとかのように特定の財産を遺贈することもできますし、相続財産のすべてを遺贈することもできます。

この場合の問題点は、相続人には遺留分という最低限保証された権利がありますから、この遺留分相当額の遺産を各相続人が受け取れなくなった場合には、後から遺贈により多く遺産を受け取った孫に返還請求する権利があります。

これを回避するには、すべての財産を孫に承継させるのではなく、遺留分相当額は他の相続人に残すのがよいでしょう。

また、遺贈は贈与税の対象となりますから、そのあたりも考慮した遺言にする方がよいです。

生前贈与

孫に遺産を相続させたい3! トラブルを回避して円満に財産を受け渡す方法とは?生前贈与は、存命中に自己の財産を誰かに無償で譲ることをいいます。

これを使えば自己の財産を孫に相続させることが可能です。

ただし、死の1年前にした生前贈与が相続人の遺留分を侵害している場合にはその1年間の生前贈与の分について、返還請求の対象となります。

贈与税については、年間110万円までの贈与は非課税ですからこれをうまく利用して少しずつ譲る方法もあります。

また、年間110万円を超えても、教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得等資金の贈与として、非課税になる場合があります。

たとえば、「30歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」といいます。)から信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権または金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となります」(国税庁のサイトより抜粋)

生命保険の活用

生命保険契約の際には保険金の指定受取人を決めます。

死亡保険金は保険契約の対象者が死亡すると指定受取人の固有の財産となります。

すなわち、保険会社→被相続人→指定受取人という流れでお金が支払われるのではなく、被相続人の財産となる余地がなく直接に指定受取人の財産となります。

保険会社→指定受取人です。

被相続人の財産となる余地がないというのは、死亡保険金は相続財産に含まれないため、遺産分割の対象にもならず相続人の遺留分を侵害することもありません。

ですから孫を指定受取人にすることで遺留分を考慮することなく孫にお金を残すことができるわけです。

但し、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となる」との裁判例(最高裁平成16年10月29日判決)があることに注意が必要です。

つまり、相続人間の不公平が著しい場合は、特別受益として持ち戻し計算されることがある、と言うことです。

特別受益についてはこちら

まとめ

今回は孫に対して財産を承継させる方法をいくつか確認してきました。

孫は基本的には相続人にはならないため、遺留分や贈与税などの拘束を受けることにはなりますが、弁護士や税理士と相談しながら最も孫に不利益の少ない方法を選択するようにしましょう。

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この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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