独身の人の財産は誰に相続される?法定相続人がいない場合に今からできる対策とは

独身の人の財産は誰に相続される?法定相続人がいない場合に今からできる対策とは

最終更新日 2024年6月30日

遺産相続においては、配偶者が最も優遇されています。

また、被相続人に子どもがいれば第一順位の相続人として配偶者とともに被相続人の遺産を相続することになります。

では、生涯独身で通した人が残した遺産は誰が相続することになるのでしょうか。

今回は独身の人の遺産相続と法定相続人がいない場合の対策について解説していきます。

配偶者・子どもがいない場合の法定相続人

独身の人の財産は誰に相続される?法定相続人がいない場合に今からできる対策とは2被相続人の配偶者がいれば必ず相続人となり、第一順位として子どもが配偶者とともに相続人となりますが、子どもがいない場合は第二順位の相続人に相続権があります。

第二順位は直系尊属です。直系尊属とは、親・祖父母・曾祖父母・高祖父母などの真っ直ぐ上の世代を指します。

これに対し、叔父や叔母も上世代にあたりますが横のつながりですから、直系尊属ではなく傍系尊属といいます。

第二順位の直系尊属は、たとえ親が死亡していても祖父母が存命であれば祖父母が相続人になります。

同じように親・祖父母ともに死亡していても曾祖父母が存命であれば曾祖父母が相続人となります。

要するにまっすぐ上の世代が誰か存命であればその人が相続人になるわけです。

次に、直系尊属が誰も存命でない場合には第三順位に相続権がいきます。

第三順位は被相続人の兄弟姉妹です。

兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡しており、兄弟姉妹に子供がいる場合(被相続人の甥・姪)にはその子どもが兄弟姉妹に代わって相続人となります。

これを代襲相続といいます。

しかし、被相続人が一人っ子という場合には第三順位にあたる人はいません。

したがって、その場合には相続人不存在ということになります。

相続人不存在の場合には、特別縁故者といって被相続人の生前に療養看護などに努めた人が家庭裁判所に被相続人の財産を分与してもらいたい旨を申し立てることができます。

家庭裁判所は申し立てを認める場合には財産の全部または一部を特別縁故者に分与する決定をすることができます。

特別縁故者の申し立てがない場合や特別縁故者に分与されなかった財産は、国のものとなります。

このように行き場所のない財産は国のものとなりますが、自分に相続人がいないことは生前にわかりますので承継させたい人に譲る方法が民法では規定されています。

次はその方法についてみていくことにしましょう。

相続人がいない場合などの対策

①遺言

独身の人の財産は誰に相続される?法定相続人がいない場合に今からできる対策とは3遺言は、生前に自分の希望する財産の承継方法を書面で作成し死亡時に効力を発生させるものです。

遺言に無効事由がなければ原則として記載したとおりに遺産は承継されることになります。

民法には遺留分といって法定相続人に最低限保証された権利があり、遺言によりその遺留分を侵害している場合には後から財産を受け取っていた人に対して返還請求されることがあります。

ただし、この遺留分は第三順位の兄弟姉妹が法定相続人になるケースでは認められていません。

したがって、独身の場合に兄弟姉妹には財産を承継させたくないという場合には、お世話になった人に財産のすべてを残すような内容の遺言を作成しておくとよいでしょう。

また、一人っ子で相続人がいない場合も遺言で誰か世話になった人などに財産を残しておくとよいでしょう。

②生前贈与

生前贈与は、文字通り生きている間に自分の財産を誰かにあげることをいいます。

贈与税の問題はありますが、自分の財産を誰にあげるかは自由です。

ただし、先程①で述べたのと同様に相続人の遺留分を侵害している場合には返還請求の対象とはなり得ます。

生前贈与の場合の遺留分侵害額請求の対象となるのは、法定相続人が遺留分を侵害している場合には被相続人の死の10年前にされた贈与、法定相続人以外が遺留分を侵害している場合には死の1年前までにされた贈与が対象になります。

相続人がいない場合や遺留分を有さない兄弟姉妹が相続人で兄弟姉妹には残したくない場合には、生前贈与も他の大切な人に財産を残す一つの方法です。

まとめ

今回は相続人がいない場合などに大切な人に財産を残す方法についてみてきました。

遺言や生前贈与をうまく利用して希望どおりの遺産承継ができるようにしてください。

遺言や生前贈与をされる場合には弁護士や税理士に相談しながら進めるのがよいでしょう。

最終更新日 2024年6月30日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学経済学部卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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