長男に遺産を独り占めされたくない!独り占めの原因と対処法を徹底解説

長男独り占め

最終更新日 2024年6月30日

旧民法では、家督相続があり、長男が財産を全部相続することとされていました。

しかし、現民法では、「子・・・が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」(民法900条4号)とされ、兄弟は平等に相続することになっています。

ところが、実際は長男が遺産を独り占めしてしまうケースが後を絶ちません。

長男が遺産を独り占めしてしまうのはなぜでしょうか?

本記事では、長男に遺産を独占される原因と対処法についてご説明いたします。

長男による遺産の独り占めが起こる原因

長男独り占め2現代日本においてもなお、長男が親と同居するケースが原因で、長男による遺産の独り占めが発生しています。

長男が親と同居している場合、日ごろから親の実印や銀行届出印、カード等の所在を知っているため、親の生前から死後に至るまで、親の財産を事実上処分できてしまうためです。

もちろん、親や他の相続人に無断で親の財産を取り込めば、不当利得の返還又は不法行為による損害賠償として、財産を返さなければなりません。

しかし、そもそも親の財産が取り込まれたかどうかを長男に尋ねても取り込んだとの回答は得られません。

また親に無断かどうかについても親が亡くなっているのではっきりしないだけでなく、親の預貯金が引き出されていても、親のために使ったなどと言い逃れされるおそれもあります。

こうした事情が、親と同居する長男に親の財産を独り占めさせる原因のひとつとなっています。

また、長男が独り占めするとの遺言を親に作らせるケースも後を絶ちません。

知力や体力が衰えた親は、同居する長男から、「おれは跡継ぎ」、「最期を看取る」などと言われると、長男に有利な遺言を作ってしまうものです。

親が死亡した後で遺言の効力を争っても、遺言書に実印が押印されていたり、遺言を公正証書にしていたりすると、遺言無効との判断をもらえるとは限りません。

こうした事情も、親と同居する長男に親の財産を独り占めさせる原因の1つとなっています。

長男に遺産を独り占めされたときの対処法

長男独り占め3長男に遺産を独り占めにされた場合、次男以下や姉妹はどのように対応すればよいのでしょうか?

一般的には、次のような方法となります。

口座の凍結

親の金融機関口座がある場合、その金融機関に届け出ると、口座が凍結されます。

すでに取り込まれている分を回復させることはできませんが、その後の取り込みを防止することができます。

死亡前から死亡後にかけてお金を引き出されるケースが多いため、時間との戦いとなります。

遺産の調査

預貯金、証券については、取り込みが疑われる時点から口座凍結に至るまでの取引履歴を金融機関から取得します。

不動産については、登記簿謄本及び固定資産評価証明書を取得します。

いずれも、戸籍謄本等により相続人であることを示すことができれば、有料ですが取得することが可能です。

遺産の調査を行うと、多額の預貯金が引き出されていたり、あるはずの不動産が売却されていたりしますので、取り込みの全容がわかります。

遺産分割調停及び保全

口座の凍結、遺産の調査後に相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます(家事事件手続法245条1項)。

長男が調停の結論が出る前に遺産や自身の財産を隠匿、費消するおそれがある場合は、調停と併せて審判前の保全処分を申し立てます(家事事件手続法105条)。

おわりに

以上が長男の独り占めへの対処法となります。

長男が遺産を独占する原因は、印鑑やカードの場所を把握している、長男に有利な遺言を両親に作らせるなどが挙げられます。

対策として、口座の凍結や遺産の調査、遺産分割調停及び保全を行うことで独占を防ぐことができますが、遺産の調査は慣れないと大変ですし、長男に動きを察知されると、ますます遺産を隠されてしまうかもしれません。

当事務所は、長男による独り占めへの対処法について、ノウハウを蓄積しておりますので、お気軽にご相談ください。

最終更新日 2024年6月30日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学経済学部卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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