タンス預金は相続税対策には使えない!メリット・デメリットを解説

タンス預金は相続税対策には使えない! メリット・デメリットを解説

自宅や事務所に現金を隠していたタンス預金が税務調査で発覚するシーンを映画やドラマで目にすることがあります。

それを見て「自分もやってみよう」と安易に考えて実行すると、大変なことになりかねません。

タンス預金とは

タンス預金は相続税対策には使えない! メリット・デメリットを解説2タンス預金とは、自宅で保管されている現金のことです。

かつてはタンスの中に現金を隠しておく人が多かったことから「タンス預金」と呼ばれていますが、保管場所はタンスに限られません。

タンス預金のメリット、デメリット

お金を引き出すために銀行へ行くしかなかった時代では、銀行の営業時間外の出金に備えてある程度の現金を自宅で保管しておく必要がありました。

しかし、現在では、営業時間外であっても利用することができるATMが銀行の本支店に設置されています。

また、わざわざ銀行に行かなくても、コンビニに行けばATMが設置されていますので、コンビニを財布代わりに利用することもできます(多くの銀行では、何らかの条件はあるものの、毎月一定回数のATM出金手数料を無料にしています)。

さらに、国が「よりスマートで利便性の高いキャッシュレス決済」の普及促進を重要な成長戦略に位置づけていることもあり、クレジットカードやスマホ決済を利用することができる店舗が急増しています。

もっとも、大規模災害等が発生すると、復旧するまでの間はATMやキャッシュレス決済を利用することができなくなりますので、ある程度の現金を自宅に保管しておくべきであるとはいえ、数十万円や数百万円の現金を自宅に置いておく必要はありません。

また、自宅に多額の現金を置いておくと、盗まれたり火災で焼失したりするリスクがあります。

したがって、タンス預金のメリットとデメリットを比べれば、リスクが高いタンス預金を選択する理由はありません。

災害時等に備えてある程度の現金(1000円札にしておくのが便利です)を自宅に置いておく必要はあるものの、お金はコンビニのATMで出金できる銀行口座に置いておくべきです。

なお、被相続人が死亡して相続が開始したことが金融機関に発覚すると、被相続人名義の銀行口座は直ちに凍結されます。

被相続人の死亡直後には、入通院費用、介護施設費、葬儀費といったある程度まとまったお金が必要であるところ、被相続人名義の銀行口座が凍結されるとそれらの支払いに困ることから、被相続人が死亡する直前にある程度のお金を出金して自宅で保管しておき、それらの支払いに備えることは有益です。

ただ、実際問題として、被相続人が死亡したとしてもその事実を銀行が知るまでにはタイムラグがあるため、被相続人が死亡した後にATMで出金すれば間に合うケースがほとんどです(請求書や領収書等を保管した上で出金の必要性についてきちんとした説明ができるようにしておかないと、他の相続人との紛争を招くため、この点への十分な配慮は必須といえます)。

タンス預金を利用した相続財産の隠ぺい

銀行口座にお金を入れると、銀行に全て記録され、最終的には税務当局の知るところとなります(税務署は、手紙一本で簡単に銀行から入出金履歴を入手することができるからです)。

これに対し、タンス預金は記録に残りません。

そこで、毎月の収入から少しずつお金を取り分けて自宅で保管しておき、自分が死んだときに相続財産を過少申告させて相続税をごまかそうと考える人がいるかもしれません。

しかし、虚偽申告をすることは違法な脱税行為です。

仮装・隠ぺいがなされると重加算税が課せられるほか(ペナルティとして支払うべき税金が1.35~1.5倍になります)、逮捕され10年以下の懲役・1000万円以下の罰金という刑事罰が科せられることもあります。

相続税には基礎控除額が設定されています。

具体的な金額は、3000万円+600万円×法定相続人の人数になります。

そのため、相続財産が基礎控除額の範囲内であるときに自宅で現金を保管しておく必要性はありませんし、相続財産を過少申告するために多額の現金を自宅で保管すると逮捕され刑事罰に発展するリスクが高まります。

したがって、被相続人がタンス預金をしていたとしても、チャンスだと思って相続財産をごまかそうと思ってはなりません。

正直に、1円残らず相続財産として計上しなければなりません。

まとめ

これまでご説明したとおり、タンス預金にはさしたるメリットがないのにもかかわらず、盗難や焼失のリスクがあるほか、相続財産を仮装・隠ぺいすると重大な法的リスクが発生することになりますので、タンス預金を相続税対策として利用することもできません。

タンス預金の処理に限らず、相続についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

「まずは相談だけ受けてみて、依頼するかどうかは家族と話し合って決めたい」ということでも構いません。

ご連絡をお待ちしています。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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