相続財産調査の進め方|各財産の調査方法と依頼費用について
最終更新日 2024年6月30日
両親や被相続人が亡くなられたら、遺族の方は遺産相続についての手続きを開始します。
初めて遺産相続の手続きを行う方は、どのように進めればいいのかがわからないのではないでしょうか。
本記事では、相続財産調査の進め方や各財産の調査方法、依頼費用についてご説明します。
相続財産調査の方法
相続が開始した場合には、まず被相続人(亡くなった方)名義の財産を調査する必要があります。
財産にはプラスの財産とマイナスの財産があり、マイナスの財産が多い場合は相続放棄の手続きも検討する必要があります。
相続放棄は、被相続人の死亡人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
原則として、申し立ては相続の開始があったときから3ヶ月以内に行わなければならないと規定されています。
相続人と疎遠になっていない場合は、被相続人が亡くなった時から3ヶ月以内となるケースが多いかと思います。
遺産相続には期限の決められているものもあるため、できるだけ迅速に財産調査をしなければなりません。
しかし、すべての種類の財産を短期間で調査するのは難しく、少なくとも調査方法を認識しておく必要があります。
次からは財産の種類ごとに調査方法などを説明していきます。
プラス財産
まずは、相続財産の中でもプラスになる財産の調査方法について見ていくことにしましょう。
不動産
不動産には登記制度があり、法務局で所有者などの権利が土地・建物ごとに記録されているため、比較的調査のしやすい財産です。
現在の制度では、「この人が所有する不動産の一覧をください」という要望に応えることのできるものはありません。
ただ、市区町村単位では「名寄台帳」と言う一覧表がありますから、被相続人かその市区町村で所有している不動産をすべて確認することができます。
日本全国で所有するものとなると、すべての市区町村で名寄台帳を確認することになり大変です。
そこで、不動産を管轄する市区町村から「固定資産税納税通知書」が毎年送られます。
被相続人の自宅を探して見つかれば、それにより所有している不動産を確認することもできます。
現金
現金については、基本的に被相続人の自宅にあるものを探すしか方法はありません。
仮に他所に保管していたとしても、その場所が被相続人の支配下にある場所でもない限り被相続人の現金であることを特定できないからです。
預貯金
銀行などの金融機関に預けている預貯金については、全国一括検索の方法はありません。
まずは、自宅に保管されている通帳、キャッシュカード、郵便物を確認します。
また、スマートフォンで取引した履歴がないかなどの確認もしましょう。
通帳がある金融機関であれば、記帳してみてください。
その他可能性がありそうな金融機関として、残高証明書の発行を請求して確認します。
その際は、金融機関ごとに規定されている戸籍謄本や印鑑証明書などの公的書類の提出を求められます。
株式、投資信託など
株式や投資信託などの有価証券を所有している場合には、証券会社や金融機関に口座開設をしていることが多いため、保管してある書類等の確認をしてみましょう。
取引が確認できたら実際に問い合わせをしてみて、被相続人が死亡した日の残高証明書を請求します。
また、手がかりが確認できない場合には、「証券保管振替機構(ほふり)」という情報機関に開示請求をしてみても良いです。
「証券保管振替機構(ほふり)」は、証券会社に登録されている株式等の情報を管理している組織です。
生命保険、損害保険
生命保険などの保険金は、基本的に相続財産になりません。
保険契約では、保険金の受取人を指定しますから、死亡と同時に受取人固有の財産となり、原則として相続財産には含まれません。
ただし、受取人が被相続人自身の場合には、相続財産に含まれます。
したがって、まずは自宅に保管されている保険証券などの保険会社発行の書類を確認しましょう。
マイナス財産
前述のとおり、相続財産は必ずしもプラスになるものばかりではなく、支払い義務が生じる債務もあります。
債務の存在により相続放棄をすべきどうかの判断材料となり、相続放棄には期限がありますから、できるだけ迅速に調査する必要があります。
借金
債務の代表的なものとして、借金があります。
借金は、個人の方や金融機関として登録されていない会社などからの借り入れでない限り、信用情報機関に開示請求することで詳細を確認することができます。
CIC、JICC、全銀協などの信用情報機関があります。
個人の方からの借り入れや金融機関として登録されていない会社からの借り入れは、上記の信用情報機関では確認できません。
そのため、契約書、督促状、手紙などか保管されていないかの確認をしましょう。
なお、闇金融からの借り入れは基本的に返済義務がありません。
そのほか、各行政機関への債務(税金の滞納など)の有無についても不明であれば問い合わせて確認するべきです。
葬儀費用等
葬儀費用の支払いについては、法律上誰が支払うといった明確な規定はありません。
過去の裁判例で相続財産から支出して良いケース、喪主が負担するケースなど結論が分かれているため、弁護士に相談すると良いでしょう。
調査を依頼した場合の費用はご相談ください
今回は、相続財産の種類や調査方法などについて説明してきましたが、実際に漏れなく調査するのは難しく大変な作業となります。
すべての調査を遺産調査に精通している弁護士事務所に依頼するのは、費用面での不安が出てくることもあるかとは思います。
費用面はケースによっても異なるため、ぜひ一度ご相談ください。
おわりに
本記事では、相続財産調査の進め方や各財産の調査方法、依頼費用についてご説明しました。
相続財産の調査は、不動産や預貯金などのプラスのものばかりに着目するわけにはいかないことはおわかりいただけたかと思います。
特に親族が亡くなられた際は悲しみなどを伴い、なかなかすぐに相続財産調査などが進まないものです。
そのまま時が流れると、知らぬ間に債務を背負ってしまうことにもなりかねません。
そのような状況にならないように、相続財産調査は法律の専門家である弁護士に任せると安心できます。
ぜひ一度お気軽にご相談ください。
最終更新日 2024年6月30日