遺産整理とは?手続きの流れや依頼先を選ぶときのポイントを解説

遺産整理とは?手続きの流れや依頼先を選ぶときのポイントを解説

最終更新日 2024年6月30日

「遺産整理」ということばは、さまざまな意味で使われていますが、おおむね、

  • 亡くなった方の遺品を整理するという意味
  • 遺産の確定という法的な意味

の2つがあるようです。

このうち、後者は、遺産分割等の前提として重要です。

ここでは、後者の「遺産整理」について、その手続の流れや、依頼先を選ぶときのポイントを解説します。

遺産整理とは

遺産整理とは、相続の際に死亡者がどのような遺産を所有していたのかを確認して財産を確定することを指します。

遺産整理は、下記3つに分類することができます。

  • 相続人と相続財産(債務も含みます)を確定する
  • どの相続人がどの相続財産を取得するかを確定する
  • 被相続人の名義から各相続人の名義に変更する

遺産整理の手順

遺産整理とは?手続きの流れや依頼先を選ぶときのポイントを解説2遺産整理を行う際には、下記の手順で行います。

1.  遺言書を探す

最初にやるべきことは、遺言書を探すことです。

遺言書にはどの相続人がどの相続財産を取得するかが明記されており、遺言書に従う限り遺産分割協議をする必要がなくなります。

そのため、有効な遺言書があれば、遺言書に記載がない相続財産と相続人の有無の調査をするだけで済みます。

2.  相続人と被相続人の確定

遺産整理を行う際、次にやるべきことは、相続人と相続財産(債務も含みます)を確定することです。

相続人の調査とは、被相続人が生まれてから死ぬまでの全ての戸籍を入手し、戸籍に記載された法定相続人を確定することを言います。

戸籍は本籍地の市町村から入手しますが、被相続人が転籍しているときは、転籍前の戸籍は転籍前の市町村から入手しなければなりません。

3.  財産の確定

調査の必要性が大きい相続財産としては、不動産、預貯金、有価証券が挙げられます。

不動産については、市町村役場で「名寄帳」を発行してもらえます。名寄帳にはその市町村にある全ての不動産が記載されていることから、調査漏れを防ぐことができます。

預貯金や有価証券については、のこされた通帳や取引報告書等を手掛かりにして被相続人が取引していた可能性のある金融機関をピックアップし、残高証明書や取引履歴を入手します。

その際、弁護士であれば弁護士会照会という方法で入手することもできますが、これには余分なお金と時間がかかるため、近場であれば依頼者に取ってきてもらうことになります。

(被相続人が死亡した旨が記載されている戸籍、依頼者が被相続人の法定相続人であることを示す戸籍、依頼者の身分証明書を用意して金融機関の窓口に行けば、簡単に発行してもらえます。)

4.  遺産分割協議を行う

相続人と相続財産を確定した後、遺言書がなければ、全ての相続人が話し合って、どの相続人がどの相続財産を取得するかを確定しなければならず、この話し合いを「遺産分割協議」と呼びます。

しかし、遺産分割協議をするには、全ての法定相続人が参加した上で、全ての法定相続人が合意しなければなりません。

1人でも反対する法定相続人がいれば遺産分割協議は成立しないため、その場合は家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行うことになります。

遺産分割調停とは、裁判所を間に入れた話し合いのことを指します。

全ての法定相続人が合意しなければ調停は成立しませんが、裁判官や調停委員という第三者が間に入ることで、身内同士の話し合いではまとまらなかった話であってもまとまることが多いです。

遺産分割調停が成立しなかったときは、遺産分割審判に移行します。

遺産分割審判では、最終的に裁判官が審判書を作成し、どの相続人がどの相続財産を取得するかを命令することになります。

5.  遺産の取得

遺産整理を行う際、最後にやるべきことは、遺言書、遺産分割協議書、調停調書、審判書のいずれかで確定した方法に従って、各相続人が遺産を取得する(自分の名義に変更する)ことです。

不動産であれば、被相続人の名義から相続人の名義に変更する登記をする必要があります。

遺産整理を行うときのポイント

こちらでは、遺産整理を行う時のポイントをご紹介します。

遺言書の開封

遺言書を発見しても、封がされているときには勝手に開封してはいけません。

家庭裁判所に相続人全員で集まり、全員の面前で開封する「検認」という手続をしなければならず、勝手に開封すると処罰されます。

遺言書が特定の相続人の遺留分を侵害しているとき、その相続人がそれを知ったときから1年以内であれば遺留分侵害額請求をすることで、民法で定められた一定割合の財産を取得することができます(民法1048条)。

相続放棄・放棄を申請するまでの期間

遺言書の有無にかかわらず、全ての相続人は、自身の判断で相続放棄を選択することができます。

相続放棄は相続開始を知ったときから3か月以内にしなければなりませんが、相続財産の調査に時間がかかるときは、家庭裁判所に頼めば相続放棄ができる期間を延長してもらうことができます。

税金の申告期限についても注意が必要です。

被相続人が所得税の確定申告をする義務があるときは、相続開始を知ったときから4か月以内に準確定申告をしなければなりません。

また、相続税が発生するときは、相続開始を知ったときから10か月以内に相続税の申告と納税をしなければなりません。

遺産整理の依頼先について

遺産整理とは?手続きの流れや依頼先を選ぶときのポイントを解説3先述の通り、遺産整理の手続は非常に複雑です。

戸籍の調査だけでも大変ですし、全ての相続人に連絡して全員の利害を調整した上で遺産分割協議をまとめることは大きな負担となります。

弁護士に依頼すれば、これらに要する時間や苦労を大幅に減らすことができます。

また、相続人全員の合意が得られなければ、最終的には家庭裁判所の審判で決着をつけることになるため、最初の段階から審判の結果を予測しつつ話し合いを進めることが重要になります。

弁護士に相談すれば具体的な見通しが立ちますし、弁護士に依頼すれば調査や交渉を代理してくれるため、自分が矢面に立つ必要がなくなります。

おわりに

本記事では、遺産整理についてご説明しました。

遺産整理はさまざまな作業が必要なだけではなく、遺言書の開封な注意点も多くあります。

遺言書の有効性が確立できていない場合、自分の取り分や親族との話し合いが必要となり、時には家庭裁判所での審判を求めることもあります。

遺産整理についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

最終更新日 2024年6月30日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学経済学部卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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