遺産分割の4つの方法|注意点もわかりやすく解説

4つの遺産分割方法について|注意点もあわせてわかりやすく解説2

遺産分割では、それぞれの財産を分けるのだろうか?

ほかの分け方はないのか?

そうした疑問をお持ちの方も多いかとお思います。

本記事では、遺産分割における4つの方法について、注意点もあわせて解説します。

4つの遺産分割方法

ある人が財産を残して死亡したとき(死亡した人のことを「被相続人」といいます)、被相続人の財産は法定相続人全員で共有した状態になります(民法898条)。

そのため、被相続人がのこしたどの財産をどの相続人が取得するのかを決めなければなりませんが、その手続のことを「遺産分割」といいます。

一般的に遺産分割は、被相続人が有効な遺言書をのこしているときは、通常はその遺言書に記載された分割方法に従って遺産分割がなされるため、被相続人が有効な遺言書を残していなかったときに行われます。

しかし、法定相続人(民法は被相続人と一定の親族関係にある人に相続権を与えており、この人のことを「法定相続人」といいます)全員の合意があれば、遺言書に記載された分割方法を無視して遺産分割をすることができます。

遺産分割の方法には、次の4種類のものがあります。

現物分割

現物分割とは、遺産の形状や性質を変更なく分割する(そのまま渡す)方法です。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人に遺産を現物で取得させる代わりに他の相続人にお金を支払わせる(もらいすぎた分をお金で調整する)方法で、現物を取得する相続人に代償金の支払能力があることが前提になります。

換価分割

換価分割とは、遺産の全部又は一部を売ってお金に換えて、そのお金を相続人で分配する方法です。

売値をいくらにするかという新たな紛争が発生するリスクや、買い手が都合よく現れるのかといった問題が発生する可能性があります。

共有分割

共有分割とは、複数の相続人の共有にする方法です。

たとえば、不動産の登記名義を被相続人の単独名義から複数の相続人の共有名義に変更するようなケースをいいます。

今後は全員で協力して共有物の管理をしていくことになり、その過程で新たな紛争が発生する可能性があります。

相続人全員の合意が整うのであれば、これら4種類の分割方法に優劣関係なく、相続人はこれら4種類の分割方法を自由に組み合わせて遺産分割をすることができます。

遺産分割するときの注意点

4つの遺産分割方法について|注意点もあわせてわかりやすく解説2遺産分割をする全ての相続人には、自身の行為の結果を判断することができる精神能力がなければなりません。

認知症等でそのような能力を欠く常況にある相続人がいるときは、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、成年後見人に遺産分割に参加してもらう必要があります。

また、相続人の中に未成年者がいる場合は、未成年者は遺産分割の当事者になることができません。

親権者が相続人でなければ、親権者が未成年者の法定代理人として遺産分割に参加することができます(民法824条)。

しかし、未成年者とともに親権者も相続人であるときは、未成年者の利益と親権者自身の利益とが対立する可能性(これを「利益相反」といいます)があるため、親権者は未成年者を代理することができません(民法826条1項)。

また、親権者を同じくする複数の未成年者がいるとき(親権者が相続人ではないことが前提です)、親権者が代理できるのは子の1人についてだけです(民法826条2項)。

そのため、このような場合には、親権者に代わって子を代理する「特別代理人」を選任することになります。

(利益相反行為について特別代理人を選任せず、親権者が代理行為をしたときは無権代理行為になります。

子が成人した後に追認しない限り、その効力は子には及びません)

話し合いで解決しない場合は遺産分割調停を行う

4つの遺産分割方法について|注意点もあわせてわかりやすく解説3遺産分割は、相続人全員の話し合いで行うのが原則で、これを「遺産分割協議」といいます。

しかし、遺産分割協議をするには、全ての法定相続人が参加した上で、全ての法定相続人が合意しなければなりません。

1人でも反対する法定相続人がいれば遺産分割協議は成立しないため、その場合は家庭裁判所に「遺産分割調停」の申立てを行うことになります。

遺産分割調停とは、裁判所を間に入れた話し合いのことです。

全ての法定相続人が合意しなければ調停は成立しませんが、裁判官や調停委員という第三者が間に入ることで、身内同士の話し合いではまとまらなかった話であってもしばしばまとまることがあります。

遺産分割調停が成立しなかったときは、遺産分割審判に移行します。

遺産分割審判では、最終的に裁判官が審判書を作成し、どの相続人がどの相続財産を取得するかを命令することになります。

なお、審判による遺産分割には優先順序があります。

裁判所は、現物分割→代償分割→換価分割→共有分割の順番で、どの財産をどの相続人が取得するのかを判断することになります。

おわりに

本記事では、4つの遺産分割方法について解説しました。

遺産分割への対処方法は非常に複雑であるため、まずは弁護士に相談した上で方針を立てることをおすすめします。

遺産分割についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

「まずは相談だけ受けてみて、依頼するかどうかは家族と話し合って決めたい」ということでも構いません。

具体的な弁護士費用の金額を含め、疑問点には全てお答えすることを約束します。

最終更新日 2024年7月6日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学経済学部卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

最終更新日 2024年7月6日

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