生命保険は遺産に含まれるか?

生命保険は遺産に含まれるか?

最終更新日 2022年10月2日

「生命保険は遺産に含まれるのかどうか」についてお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、生命保険は遺産に含まれるのかどうかについて解説します。

生命保険の保険契約者、被保険者、保険金受取人

前提知識として、生命保険契約には、保険契約者、被保険者、保険金受取人の3人の登場人物がいることを知っておく必要があります。

保険契約者とは、保険会社との間で生命保険契約を締結し、掛金を支払った人のことです。

被保険者とは、保険契約の対象になる人のことです。

死亡保険であれば、被保険者が死亡したときに保険金が支払われることになります。

保険金受取人とは、保険会社が保険金を支払う相手のことです。

被相続人が保険契約者、被保険者のケース

生命保険は遺産に含まれるか?2もっとも多いケースがこのケースになります。

被相続人が生命保険契約をして掛金を支払った場合です。

配偶者、子A、子Bの3人の相続人がいるケースで考えてみます。

このとき、保険金受取人として配偶者が指定されているときは、保険金は配偶者の固有財産となります(厳密に言うと、配偶者は、配偶者自身の固有の権利として保険金請求権を取得することになります)。

配偶者自身の固有財産になるため、遺産には含まれません。

また、保険金受取人の欄に「相続人」と記載されているときは、特段の事情のない限り、保険金請求権発生時点(生命保険であれば被保険者の死亡時点)の相続人たる個人が保険金受取人として特に指定されたものであると解釈されています。

そのため、相続人のうちの特定の者が保険金受取人として指定されているケースと同様に、この場合も、保険金受取人である全ての相続人の固有財産として扱われることになります(上記のケースで言えば、配偶者は2分の1、子Aは4分の1、子Bは4分の1の保険金請求権をそれぞれの固有の権利として取得することになります)。

そして、保険金受取人の欄に何も記載されていなかったとき(保険契約者が保険金受取人を指定しなかったとき)は、「保険金受取人の指定のないときは、保険金を被保険者の相続人に支払う」という保険約款の条項を適用し、保険金受取人の欄に「相続人」と記載されているときと同様に扱うことになります。

すなわち、保険金請求権発生時点(生命保険であれば被保険者の死亡時点)の相続人たる個人が保険金受取人として特に指定されたものであると解釈され、その結果として、保険金受取人である全ての相続人の固有財産として扱われることになります。

この点について、交通事故傷害保険に関するものですが、最高裁判所昭和48年6月29日判決があります。

この判決は、「「保険金受取人の指定のないときは、保険金を被保険者の相続人に支払う。」旨の条項は、被保険者が死亡した場合において、保険金請求権の帰属を明確にするため、被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解するのが相当であり、保険金受取人を相続人と指定したのとなんら異なるところがな いというべきである。

そして、保険金受取人を相続人と指定した保険契約は、特段の事情のないかぎり、被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者のための契約であり、その保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に相続人たるべき者の固有財産となり、被保険者の遺産から離脱したものと解すべきである」との判断を示しています。

これらに対し、満期保険金請求権については、保険契約者が被保険者と保険金受取人を兼ねることになるため、生命保険金は相続財産になるのではないかとも思えます(満期保険の代表例は養老保険です)。

しかし、満期前に保険事故(保険契約者の死亡など)が発生したときは、保険契約者の意思を合理的に解釈し、相続人を保険受取人に指定する黙示の意思表示があったものと解釈されています。そのため、保険金請求権発生時点(生命保険であれば被保険者の死亡時点)の相続人たる個人が保険金受取人として特に指定されたものであると解釈され、その結果として、保険金受取人である全ての相続人の固有財産として扱われることになります。

第三者が保険契約者、被相続人が被保険者のケース

生命保険は遺産に含まれるか?3第三者が保険契約をし、掛金を支払った場合には、第三者が保険金受取人欄に誰を記載したかによって異なる結果となります。

第三者が保険金受取人欄に何も記載しなかったときは、保険金受取人は保険金契約者である第三者であると解釈されますので、第三者の固有財産となります(被相続人の相続には一切関係しないことになります)。

これに対し、第三者が保険金受取人欄に「被相続人」と記載したときは、被保険者である被相続人が死亡したときはその相続人を保険金受取人に指定する旨の黙示の意思表示があったと推定することができますので、保険金請求権は相続人の固有財産となります。

まとめ

このように、生命保険金(正確には保険金請求権)は保険金受取人の固有財産となり、相続財産とはなりませんが、特定の相続人のみが保険金を受け取ったときは特別受益に準じたものとして扱われる場合があります(最高裁判所平成16年10月29日決定は、「死亡保険金は特別受益にはあたらないが、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合は、特別受益に準じて持戻しの対象となる」との判断を示しています)。

相続についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

最終更新日 2022年10月2日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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