遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いは?

遺留分

最終更新日 2022年11月5日

「遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いは何だろう」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、遺留分侵害額請求とはどのようなもので、遺留分減殺請求との違いについて解説します。

遺留分とは

人は、自己の所有財産を自由に処分することができます。

この処分には、生前処分のみならず遺言による死後処分も含まれます。

しかし、被相続人と一定の身分関係がある者の中には、被相続人の財産に依存して生活していた者もいるため、その者の生活保障に配慮する必要があります。

また、共同相続人相互間における公平な遺産相続を実現する必要もあります。

そこで、民法は、遺産について、被相続人が自由に処分できる「可譲分」と自由に処分できない「遺留分」とに分け、後者について遺留分を侵害された相続人による遺留分侵害額請求を認めました。

すなわち、遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分のことであり、被相続人の生前の贈与や遺贈によっても侵害することができないものになります。

民法が遺留分を認めている相続人は、兄弟姉妹を除く相続人になります。

すなわち、直系卑属(子やその代襲相続人、再代襲相続人)、直系尊属(親や祖父母など)、配偶者です。

胎児も、生きて生まれれば子としての遺留分を持ちます(民法886条)。

遺留分の割合については、相続人が直系尊属のみであるときは3分の1、その他の場合には2分の1です(民法1042条1項1号、2号)。

そのため、相続人として妻と3人の子がいるときは、それぞれの子の遺留分は、2分の1(子全員の相続分)÷3(子の数)×2分の1(遺留分の割合)=12分の1となります。

遺留分の請求方法

遺留分を請求するときは、最初に配達証明つきの内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送付するのが通常です(遺留分が侵害されていることを知った日から1年が経過すると請求権を行使することができなくなりますので、請求権を行使した日が知った日から1年を経過していないことを明確にするために必ず配達証明付きの内容証明郵便で請求しなければなりません)。

相手方との話し合いがつかなければ、家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てるか、地方裁判所(請求額が140万円以下のときは簡易裁判所)に遺留分侵害額請求訴訟を提起するかのどちらかを行って解決を求めることになります。

遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求との違い

遺言遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された人が遺留分を侵害した人に対し、侵害された遺留分に相当するお金を請求することです。

民法は2019年6月30日以前に発生した相続については「遺留分減殺請求権」を認めていましたが、法改正がなされ、2019年7月1日以降に発生した相続については「遺留分侵害額請求権」が認められることになりました。

遺留分減殺請求権と遺留分侵害額請求権の違いは、前者は請求しただけで遺留分の限度で所有権が移転する法律効果が発生するのに対し、後者は侵害額に相当するお金を請求することができるだけという点になります。

両者の違いについて、法務省民事局が分かりやすく説明していますので、ご紹介します。

事例

経営者であった被相続人が,事業を手伝っていた長男に会社の土地建物(評価額1億1123万円)を,長女に預金1234万5678円を相続させる旨の遺言をし,死亡した(配偶者は既に死亡)。

遺言の内容に不満な長女が長男に対し,遺留分減殺請求する場合、

長女の遺留分侵害額

1854万8242円={(1億1123万円+1234万5678円)×1/2×1/2-1234万5678円}

(現行法)

会社の土地建物が長男と長女の複雑な共有状態に

持分割合

長男9268万1758/1億1123万

長女1854万8242/1億1123万

(改正後)

遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権となる。同じ事例では,長女は長男に対し,1854万8242円請求できる。

 

制度導入のメリット

  1. 遺留分減殺請求権の行使により共有関係が当然に生ずることを回避することができる。
  2. 遺贈や贈与の目的財産を受遺者等に与えたいという遺言者の意思を尊重することができる。

まとめ

このように、民法改正によって、これまでは遺留分減殺請求書を送っただけで所有権が移転し共有状態になるという法律効果が発生していたところ、2019年7月1日以降に発生した相続についてはそのような重大な物権的効果ではなく侵害額に相当する金銭債権のみが発生するようになりました。

これを簡単に説明すると、民法は遺留分の侵害はお金で解決することにしたということになります。

遺留分についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

最終更新日 2022年11月5日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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