相続アドバイザーとは。活動する際に必要な資格の種類と注意点
最終更新日 2024年9月15日
「相続アドバイザー」などと名乗る業者がいるけど、どんな人たちなの?
「相続アドバイザー」に遺産の処理を任せて大丈夫なのか?
本記事では相続アドバイザーの資格の性質と、相続関連の仕事をする際に必要となる資格について解説します。
相続アドバイザーとは
相続アドバイザーには、資格としての意味と仕事としての意味の2種類あり、相続アドバイザーの資格を取得していない方でも、相続アドバイザーとして仕事を行うことは可能です。
資格としての「相続アドバイザー」
相続アドバイザーは、NPO法人相続アドバイザー協会が主宰している民間資格です。
また、これとは別に、銀行業務検定の一つとして実施されている相続アドバイザー2級、3級があります。
銀行員が相続業務を行う上で必要となる、相続知識を身に付けているか確認するために受験するケースが多いです。
相続アドバイザー検定3級では相続の基礎知識と金融実務関連の科目が出題され、2級では相続知識だけでなく、対策方法やアドバイス方法、相続手続きに関連する科目が出題されます。
(相続アドバイザーに1級試験は存在しません。)
仕事としての「相続アドバイザー」
仕事としての相続アドバイザーは、相続対策や、相続が発生した場合に行う手続き方法に関してアドバイスをする人をいいます。
相続は亡くなった人の財産を相続人で分割する以外に、相続した後の登記や銀行口座の名義変更手続き、相続税の申告など、やらなければいけないことが多いです。
相続に関係する手続きの代行は、国家資格を所持している人しか行えませんが、手続きの種類によって依頼する専門家は異なります。
相続アドバイザーは、相続の問題点を抽出してアドバイスするとともに、相続人と士業(税理士や弁護士など)をつなぎ合わせるのが役割の仕事です。
相続アドバイザーとして活動する際の注意点
資格としての相続アドバイザーは民間資格ですので、検定に合格しても士業の業務が行えるわけではありません。
相続知識を身に付けるために相続アドバイザー検定を受ける選択肢もありますが、実務上で資格を活かせる機会は少ないです。
また士業に関する業務は、各資格を取得した人しか行うことができず、無資格で士業を行った場合は、税理士法違反などの対象となりますので注意してください。
相続アドバイザーとして活動するために必要となる資格
相続アドバイザーを生業として活動する際に、必要となる資格をご紹介します。
相続手続き代行は国家資格が必要
相続に関する手続きを代行する場合には、国家資格が必要です。
たとえば税理士資格がないと、相続税の申告書を作成できませんし、登記名義の変更は司法書士に依頼することになります。
また遺産分割協議の話し合いをまとめる場合や、相続人の間に入って仲介するのは弁護士が専門です。
弁護士資格を取得している人は税理士業務を行うこともできますので、トータルで相続に関する相談する際は、弁護士が有力な選択肢の一つです。
相続アドバイザーの仕事自体に資格は不要
資格としての相続アドバイザーは民間資格ですので、取得していなくても相続アドバイザーとして仕事を行うことは可能です。
民間資格は、一定の知識を得たことを確認する目的や、相手方に知識があることを証明するために取得するケースなどがあります。
ただ相続アドバイザー3級の合格率は40%と高いため、資格を所持していたとしても優位性はなく、銀行業務検定の一つであることから一般的な知名度も低いです。
そのため銀行員以外の方が、積極的に相続アドバイザーの資格を取得するメリットは少ないです。
士業以外の相続アドバイザーにとって有益な資格とは
相続に関するアドバイスする仕事を行う場合、相続アドバイザー以外の資格としては、ファイナンシャル・プランニング技能検定(通称:FP技能検定)があります。
FP技能検定は国家検定ですので、民間資格よりも信用度は高いですし、相続アドバイザーよりも知名度があります。
ファイナンシャルプランナーは、個人が保有する資産や収入、想定されるライフイベントから必要となる資金を計算し、人生設計をサポートするのが役割の仕事です。
人生設計には相続も含まれていますので、ファイナンシャルプランナーが相続の相談を受けることもあります。
ただし、ファイナンシャルプランナーは人生設計のアドバイスを行うのに留まり、実際に相続が発生した場合の遺産分割協議や相続登記、相続税の申告などは士業の方しかできない点には注意してください。
まとめ
相続アドバイザーは、相続人と士業を繋ぐのが役割であり、相続アドバイザーの資格がなくても相続に関する相談を受けることは可能です。
ただ相続税の申告手続きなど、相続に関する実務は士業しか行うことができませんし、士業は相続に関する相談対応も行っています。
また相続手続きをスムーズに進めるために、士業同士で提携している場合もありますので、相続の相談先に迷っている方は弁護士等にご相談ください。
最終更新日 2024年9月15日