遺産分割調停とは?手続を有利に進めるために知っておきたい全知識(相続)

遺産分割調停とは?手続を有利に進めるために知っておきたい全知識(相続)

「遺産分割調停をすることになったものの、どうしたらよいのだろうか」

なそとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、遺産分割調停とはどのようなもので、手続を有利に進めるために知っておきたいことについて解説します。

遺産分割調停とは

遺産分割調停とは?手続を有利に進めるために知っておきたい全知識(相続)2遺産分割調停とは、家庭裁判所で行う遺産分割協議のことです。

ある人(被相続人)が遺言をのこさず死亡したとき、被相続人の遺産は相続人全員で共有することになります。

被相続人名義(あるいは相続人全員の共有名義)から特定の相続人の名義に変更するためには、「遺産分割協議」を行い、「どの相続人がどの遺産を相続するか」を決める必要があります。

しかし、遺産分割協議を成立させるためには、全ての相続人の合意が必要です。

1人でも反対する相続人がいれば遺産分割協議を成立させることはできません。

そのため、自分たちだけで話し合っても無理なときは、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行うことになります。

家庭裁判所で行う遺産分割調停も、成立させるためには全ての相続人の合意が必要なことは遺産分割協議と同じです。

しかし、裁判官(家事審判官)や家事調停委員という中立公平な第三者が間に入って問題点を整理したり、法律や裁判例を説明したりすることで、相続人の中に納得感が醸成され、相続人全員の合意が形成されやすくなります。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停を利用するためには、家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

具体的なやり方については家庭裁判所の職員が懇切丁寧に教えてくれますし、その際、申立てに必要な書類一式も無料でもらえます(事前に電話するとよいでしょう)。

遺産分割調停の申立てをしようと思うからには、自分たちだけでの話し合いでは遺産分割協議がまとまらない状況になっているわけですが、この時点で弁護士に相談し、問題点を法的に整理しておくべきです。

なぜなら、遺産分割調停を自分でやるにしても、無茶な主張をすると、他の相続人や調停委員から相手にされなくなり、不利な立場に追い込まれかねないからです。

弁護士に相談した上で、弁護士費用を支払って弁護士に依頼したほうがよいということになれば、遺産分割調停の申立書は弁護士が作成しますので、ご自身で家庭裁判所に行って説明を聞く必要はありません。

遺産分割調停の申立書を家庭裁判所に提出すると、家庭裁判所によって調停期日が指定されます。

指定された調停期日に裁判所に行くと、申立てをした人の待合室と申立てをされた人(相手方)の待合室が別々の場所にあります。

そこで待っていると、調停委員から交互に呼び出され、話を聞かれます。

必要があれば、申立てをした人と申立てをされた人の両方を呼んで一緒に話を聞くこともありますが、通常は別々に呼んで話を聞きます。

1回の調停期日にかかる時間は、おおよそ1~2時間程度です。

調停委員は、次回期日までに当事者が検討してくることを整理した上で、次回期日の日程を決めます。

次回期日はおおよそ1か月後に指定されますので、また1か月後の次回期日に家庭裁判所に行って話し合いを続けることになります。

このように、調停期日は1か月に1回の頻度で開催されますが、開催時間は裁判所の業務時間の間に限られるため、平日の午前9時、午後1時、午後3時ころに家庭裁判所に到着し、そこから2時間程度、裁判所に滞在する必要があります。

つまり、移動時間を考えると、毎月1回、平日の午前か午後が全てつぶれてしまうことになりますが、弁護士に依頼すれば全て任せることができるため、仕事を休んで家庭裁判所に行く必要はありません。

調停を有利に進めるために知っておきたいこと

遺産分割調停とは?手続を有利に進めるために知っておきたい全知識(相続)3家事調停の仕組みは、次のとおりです。

裁判官(家事審判官)1名と家事調停委員2名(民間有識者。複雑な法律問題が絡みそうな事件は法曹資格を有する家事調停委員=弁護士や元裁判官が入る)が調停委員会を構成する。

家事調停は2名の調停委員が主宰する。

裁判官は、通常は調停には出席せず、調停委員の報告を聞いて必要な指示をする。

調停委員は、裁判官の指示を受けて調停を進行し、当事者(申立人、相手方)を交互に呼んで話を聞き、調停の成立に向けて当事者双方の主張の調整を図る。

調停を有利に進めるためには、調停委員の立場から遺産分割調停の流れを見る必要があります。

遺産分割調停の流れは、次のとおりです。

①全ての相続人と全ての相続財産を確定する(争いがあれば民事訴訟で確定してもらう)

②どの相続人がどの相続財産の取得を希望しているのかを整理する

③希望がバッティングするときは、金銭や他の相続財産の取得等で調整が可能かどうかを確認する

④法律問題があるときは、当事者双方の法律上の主張と証拠を確認する

⑤遺言があれば遺言、遺言がなければ相続分の範囲内で調整が可能かどうかを確認する

⑥裁判官が説得して調整がつきそうであれば裁判官の臨場を願う

⑦調整がつけば調停成立、調整がつかなければ調停不成立で審判に移行する

調停委員は、上記の全てについて裁判官に報告し、その指示を仰がなければなりません。

当事者が好き勝手に口頭でしゃべると、それをその場でメモし、清書して記録に綴じるという手間がかかります。

また、裁判官への報告には調停委員の知覚・記憶・叙述が介在するため、当事者の言い分が過不足なく裁判官に伝わらない可能性もあります。

このような家事調停の実務を踏まえると、当事者が調停を有利に進めるためには、

前提となる事実関係や法律関係(証拠があれば証拠との関連性)は書面で正確に整理すること(口頭で言うことは、口頭でしか言えないことに限る)

書面は遅くとも調停期日の10日前までには提出すること

審判になったときに認められる限度を過度に超えない程度の相続財産の取得を希望すること(超える部分は話し合いに応じる余地がある旨を明確にしておくこと)

裁判所と約束をしたことはどれほど些細なことであっても必ず守ること

といった基本的なことをきちんと行うことが大切です。

まとめ

このように、遺産分割調停をする際には上記のような注意点があります。

遺産分割調停についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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