遺産分割調停にかかる期間は平均1年!短期間で合意するためのポイント
最終更新日 2024年9月10日
遺産の分割の際に親族と論点になるポイントは、「いくら相続ができるのか」「いつもらえるのか」などです。
民法では相続できる金額が決まっているとはいえ、「もう少し相続したい」「これは私が相続したい」など、額面以外の物を相続する場合も話がスムーズに進まないことがあります。
本記事では、遺産分割調停にかかる期間や時間がかかる原因などについてご説明します。
遺産分割調停とは
遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができるとされています(民法907条2項)。
このうち、調停での解決を求めるものを、遺産分割調停といいます(家事事件手続法244条、同別表第2第12項)。
具体的には、1、2か月に1回ほど期日が設けられ、期日に当事者が出頭し、調停委員を交え、相手方と合意点を見出すというものです。
調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決等と同一の効力を有する(家事事件手続法268条1項)とされます。
遺産分割調停にかかる期間
遺産分割調停にはどれくらいの期間がかかるでしょうか?
令和2年度の司法統計情報年報によれば、遺産分割事件の審理期間は、6か月~1年が最も多いですが、次いで1年~2年が多く、中には3年を超えるものもあります。
つまり、遺産分割調停は、最低でも半年はかかるということです。
遺産分割調停に時間がかかる原因
なぜ遺産分割調停にこれほどの期間がかかるのでしょうか?
それは、相続人が多い、遺産の評価に争いがある、特別受益や寄与分の争いがある、使途不明金があり、遺産の範囲など遺産分割の前提問題が途中で争われる、などの原因が考えられます。
遺産分割調停を短期間で終わらせるポイント
遺産分割調停を短期間で終わらせるにはどうしたらよいでしょうか?
こちらでは、遺産分割調停を短期間で終わらせるポイントについてご説明します。
相続分を譲渡又は放棄する
遺産がわずかである、相続分が少ないなどのため、手間暇費用をかける価値がない場合は、早急に相続分を他の相続人に譲渡し、又は放棄して、調停から排除されるとよいでしょう。
相続分の放棄については、家庭裁判所に申し出れば、必要な書類を準備してくれます。
無理筋な主張をしない
遺産分割調停は、不成立となると、自動的に審判に移行し、裁判官が審判により解決を図ります。
言い換えれば、裁判官に認められない主張は、かりに行っても紛糾して調停不成立となり、審判において否定されてしまいますので、できる限り行わないことです。
弁護士を入れる
当事者の1人でも弁護士を代理人として付けると、争点が整理され、話が進むことがあります。
なので、弁護士を付けることも一考です。
早めに調停条項案を示す
抽象的に議論していると、議論は尽きないものですが、具体的に調停条項案を提案すると、それをたたき台として、一気に調整が進み、調停が成立することがあります。
なので、調停条項案を早めに提示するのも一考です。
おわりに
以上が遺産分割調停を早く終わらせるポイントとなります。
遺産分割調停を短期間で終わらせる方法は、相続放棄や無理筋な主張はしない、弁護士を入れる、早めに調停条項案を示すなどです。
ただ、無理筋な主張をしない、といっても、無理筋かどうかの判断は、素人の方には難しいかもしれません。
また、上記のとおり、弁護士をつけることで、争点整理が進み、一気に話が進むことがあります。
当事務所は、所属弁護士が、調停委員として、また代理人として、多数の遺産分割調停を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
最終更新日 2024年9月10日