遺産目録を作成する目的とは?記載内容について解説

遺産目録を作成する目的とは?記載内容について解説(相続財産目録)

「相続財産目録という言葉を聞くけど、どのような場合に作成しなければならないのだろうか」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは相続財産目録を作成する目的や記載内容について解説します。

相続財産目録とは

被相続人が生前に遺言をするにせよ、被相続人の死後に相続人が遺産分割をするにせよ、遺言や遺産分割の対象となる財産(「相続財産」とも「遺産」とも言います)を確定することが全ての出発点となります。

遺言や遺産分割の対象となる財産を確定するための最も簡便な方法は、リストを作成し、一つ一つの財産について漏れがないかどうかを確認していく作業をすることです。

そのリストが「相続財産目録」ないし「遺産目録」と呼ばれています(遺言書に添付する目録は「相続財産目録」と呼ばれ、遺産分割調停や審判調書に添付する目録は「遺産目録」と呼ばれることが多いのですが、両者は言い方が違うだけで中身は同じものです)。

相続財産目録に漏れがあるとどうなるか?

遺産目録を作成する目的とは?記載内容について解説(相続財産目録)2相続財産目録に漏れがあると、漏れた財産について遺言や遺産分割の効力が及ばなくなってしまいます(漏れた財産は、新たな遺産分割の対象となります)。

遺産分割調停を主宰する立場にある家事調停委員は、第1回の調停期日において、申立人が作成した遺産目録(遺産分割調停の申立書には遺産目録を添付しなければなりません)をもとにして、相手方に対し、遺産の範囲について争いがあるかどうかを確認します。

なぜなら、遺産の範囲が確定しなければ、具体的な分割内容の話を進めても意味がないというのが裁判所の基本的立場だからです。

そのため、家事調停委員は、当事者の話を聞きながら、調停の序盤段階において、遺産の範囲について当事者間の合意形成を目指すことになります(具体的には、当事者間の合意形成ができた時点で遺産目録を添付した中間合意調書を作成し、遺産の範囲をめぐる紛争の蒸し返しを防止することになります)。

相続財産目録の確定ができないとき

相続財産目録の確定ができない場合には、①遺産がまだあるはずだという遺産探し、②被相続人の財産かどうかについての争いがあるとき、③使途不明金があるときが考えられます。

遺産分割調停においては、遺産探しを主張する当事者に対しては、「第〇回期日までに判明した遺産のみを分割対象とする」として期限を区切り、設定した期日までに判明した遺産を分割対象とすることになります(その後に遺産が判明したら、判明した時点で改めて遺産分割をすることができますので、当事者に不利益はありません)。

被相続人の財産かどうかについての争いがあるときは、遺産分割調停や審判では解決することができません。

そのため、解決を望む相続人が原告となって民事訴訟を提起し、その民事訴訟の確定判決に従って相続財産目録を作成することになります(遺産分割調停が係属しているときは、家庭裁判所から調停を取り下げるように強力に勧告されます)。

使途不明金が遺産分割で問題になるのは、それが特別受益になるかどうかという点だけです(被相続人の生前に被相続人に無断でその財産を使い込んでいたときは、被相続人に対する不当利得ないし不法行為の問題となり、これらは分割可能な金銭債権ですので、各相続人の相続分に従って法律上当然に分割され、遺産分割の対象財産とはならないからです)。

いずれにしても、相続財産目録の作成という観点からは、被相続人が死亡した時点における被相続人の財産をリスト化すればよいことになりますので、被相続人の死亡の前後における使途不明金と直接の関係はありません。

相続財産目録の書き方

遺産目録を作成する目的とは?記載内容について解説(相続財産目録)3相続財産目録については裁判所が書式(下記リンク先を参照してください)を公開しています。

不動産登記簿や預貯金通帳等を見ながら、上記の各書式の空欄部分に必要事項を記載するだけで、簡単に相続財産目録を作成することができます。

法務省も、自筆証書遺言に添付する財産目録について記載例を公表していますので、あわせて参考にしてみてください(なお、自筆証書遺言は形式を誤って無効になりやすいため、遺言書を作成するときは、弁護士に依頼して公正証書遺言を作成することをお勧めします)。

まとめ

このように、相続財産目録には上記のような注意点があります。

遺言や相続についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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