相続人不存在のときでも財産を守りたいなら遺言書を残そう
最終更新日 2024年6月30日
独居老人や未婚の方の中には、財産があっても受取人がいない場合があります。
「この家は誰かに使ってほしい」「預金は○○円あるから有効に使ってほしい」などの希望があっても、相続人がいなければ通常、国庫に帰属してしまいます。
相続人が不在でも財産を守りたい場合はどのようにすれば良いのでしょうか。
本記事では相続人が不在でも財産を守る方法についてご説明します。
相続人不存在とは
文字どおり、相続人がいない場合をいいます。
相続人が不在となるケースは、少子高齢化が原因となる独居老人や未婚率の上昇などが該当します。
民法上での相続人が不在となると、その財産を管理する管理人が必要となります。
相続人がおらず、遺言状などがない場合、財産はすべて国庫に帰属します。
相続人不存在のとき財産はどこに行くのか?
では、相続人不存在の場合、財産はどこに行くのでしょうか?
こちらでは、相続人不在時の財産の受領者についてご説明します。
相続債権者
そもそも、相続人が本当にいないかについて、最初からはっきりわかるわけではありません。
相続人がいることが明らかでない場合、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならず、家庭裁判所は、相続財産の管理人を選任したときは、遅滞なくこれを公告しなければならない(民法952条)、とされています。
つまり、相続財産について利害関係がある人が、家庭裁判所に申し立てることにより、相続財産を管理する人が選任されるのです。
そして、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者等に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない(民法957条1項)、とされます。
つまり、相続人の債権者等に権利主張の機会を与え、債権者が現れれば、その人に相続財産から支払いを行います。
受遺者
財産を相続人でない人に遺贈するとの遺言がある場合は、その人(「受遺者」といいます。)が財産を取得します。
では、そうした遺言がない場合はどうなるのでしょうか?
特別縁故者
さらに、相続人に権利主張の機会を与える相続人捜索期間を経てもなお、相続人としての権利を主張する者がいない場合、本当は相続人がいたとしても、その人は権利を行使できなくなります(民法958条2項)。
そのうえで、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる(民法958条の3)、とされています。
つまり、被相続人(亡くなった人)と特別のゆかりのある人が申し立て、裁判所が相当と認めれば、残った財産の全部又は一部をその人にあげることになるのです。
国庫
ただ、亡くなった人の親しい友人程度では、特別の縁故が認められなかったり、特別の縁故が認められても、財産の一部分与にとどまったりすることが多いのです。
そして、特別縁故者に分与されなかった財産は、国庫に帰属、つまり、国のものになります。
おわりに
本記事では、相続人が不在でも財産を守る方法についてご説明しました。
相続人が不在時に財産を守る方法の一つは、遺言書に記載することが挙げられます。
身寄りがないなどの事情により、相続人がいない方は、ほうっておくと、死亡により、自分の財産が最終的に国のものになってしまいます。
そこで、親しい誰かに自分の財産を残したい場合は、生前に遺言をしておくことを強くお勧めします。
当事務所は、遺言作成や遺言執行のお手伝いをさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
最終更新日 2024年6月30日