遺言書の種類とメリット・デメリットを解説!おすすめの遺言書とは

おすすめの遺言書とは

人の死亡とともに相続が開始し、遺言書がある場合はその内容に則って相続の処理が行われます。

遺言書にはどのような種類があり、またどのような特徴があるのでしょうか。

本記事では、遺言書の種類とメリットやデメリット、おすすめの遺言書とはどのようなものを指すのかを解説いたします。

遺言書について

法律には相続人になる人が定められており、その相続分も規定されています。

相続の開始により財産が相続人に承継されますが、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって法律で定められた相続分(法定相続分)を変更することもできます。

ただし、相続人の関係によっては不仲により話し合いができなかったり、会ったこともない人同士が相続人になったりすることもあり、遺産分割協議がまとまらないことがあります。

もしもご自分が亡くなった後に相続人が争いになることが生前に予想できるのであれば、何か対策がないかと考えるのではないでしょうか。

あるいは、自分にとって最も大切な人に残したいと考えるかもしれません。

たとえば、年老いてから子どもたちは薄情で身内には恵まれなかったけれど、他人であるにもかかわらず、ずっと親身になって世話してくれた人がいる場合にその人にすべての財産を残したい、というような他人に残すケースもあるのかもしれません。

このような、人の最終意志を法律が尊重したものを「遺言」と呼びます。

最終意志であるため、一度作成した遺言書でも、生きている間に気持ちが変われば書き直すことができます。

そして一番死亡日に近いものを最終の意志として扱い相続財産を分配しようというものです。

ただし、遺言は財産に関するものに対して相続人を拘束しますが、その他の想いは相続人を拘束しません。

たとえば「私が死亡したら、長男は実家に移り住みお母さんの世話をすること」や「私の死後、長男と長女は和解し関係を修復すること」などと書いても、相続人はそれに従わなければならないわけではありません。

普通方式遺言は3種類

おすすめの遺言書とは2遺言を作成する方法は法律で細かく規定されています。

(民法第960条~第1027条)その中で普通の方式は3種類あり、以下順にご説明します。

自筆証書遺言

「自筆証書遺言」は、民法に規定されている遺言作成方式としては最も簡単で、ペンと紙があればすぐにでも作成できます。

ただし、民法には自筆証書遺言の作成上のルールが記載されており、それに従っていないと無効になる場合があります。

とはいえ難解なルールが規定されているわけではありません。

簡単に説明すると、誰に何の財産を残したいかを自筆で書き、最後に日付と名前を書いて押印する、というのが基本ルールです。

たとえば日付を書き忘れたり、自筆でなければならない遺言書をパソコンなどで作成したりすると無効になります。

ただし、近年民法の改正により、別紙に財産をまとめて記載した「財産目録」を作成する場合は、財産目録のページについてはパソコンで作成したもので構いません。

その場合には、財産目録のページ下部の余白などに氏名を自署して押印します。

自筆証書遺言に押印する印鑑は、実印である必要はなく、認印で構いません。

令和2年7月10日、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が施行されました。

これは、前述したとおりに作成した自筆証書遺言を法務局に持っていき、保管を依頼することにより紛失を防ぐことができます。

また保管申請の際に、法務局にて形式上の不備がないかをチェックしてもらえるため、書き方のルールに従っていない場合のミスも防ぐことが可能になりました。

遺言者の死亡後50年間は原本を保管してもらえるため、かなり画期的な制度となっています。

保管申請の際に必要な費用は、3,900円です。

自筆証書遺言保管制度関して、詳しくは法務省のホームページをご参照ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html#header

メリットとデメリット

自筆証書遺言の大きなメリットは、作成が簡単で手軽にできる点にあります。

デメリットとしては形式的なミスがあれば無効になり、紛失のおそれがあることが挙げられます。

ただし、法務局による自筆証書遺言保管制度の誕生により、この制度を利用するかぎりにおいてはそのデメリットはカバーできるといえます。

自筆証書遺言の場合には、遺言作成当時の意思能力を争われる場合もあり、その点においては法務局が保証してくれるわけではありません。

認知症の状態で作成した遺言はのちにその有効性が否定される可能性があります。

遺言は法律で定められた相続分を変更させるものであるため、本来もらえるはずであった相続人や遺言により法定相続分より少なくなった相続人は、遺言が無効であることを期待するケースもあります。

不備の可能性があれば遺言の有効性を争ってくるかもしれません。

この点を自筆証書遺言では完全にカバーする方法がなく、不安定な方式であることは否めません。

公正証書遺言

「公正証書遺言」は、遺言の中でも最も確実な作成方式といえます。

各地に公証役場が設けられており、そこに常駐する各法務局所属の公証人が指定されています。

公証人は、法曹界で実務を経験した人(弁護士等)がなる場合が多いため法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人の面前で作成し、証人が2人必要であるため相続開始後に不備があったということは考えにくく、公証人が意思能力を確認するため、認知症で遺言を作成する能力はなかったとか無理やり作成させたのではないか、などの指摘を受ける可能性は極めて低くなります。

また、公証役場には遺言の原本を遺言者が120歳に達する年まで保管されるため、紛失する心配もありません。

メリットとデメリット

公正証書遺言のメリットは、上述のとおり無効となる可能性はまず考えにくいことや、紛失のおそれがないことが挙げられます。

また、身体が不自由であったり、入院中であったりしても公証人が出張してくれる点もメリットといえます。

デメリットは、費用がかかるという点以外にはありません。

事前に弁護士や司法書士に相談して作成することが多く、公証人の手数料も必要なため、財産額によっても変わりますが、平均すると10万円以上はかかるケースが多いでしょう。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言を作成して封をしてから公証役場に持っていき、公証人と証人2人以上の立ち会いをもってその遺言が自己の作成したものであることを申述します。

内容を誰にも知られることなくその遺言書の存在を公証人に証明してもらうために秘密証書遺言は利用されます。

秘密証書遺言の作成は、自筆でもパソコンでも構わず、作成した秘密証明書は公証役場でも封は開けません。

自筆証書遺言、公正証書遺言と比較しても極めて作成数の少ない方式といえます。

メリットとデメリット

メリットは、遺言の中身を誰にも知られない点にあります。

しかしながら、公証人の手数料もかかる上、遺言書自体がルールに沿ったものかどうかは誰もチェックできないため、無効になる可能性もあるのがデメリットといえます。

このことからも、費用がかかるのに無効になる可能性もあるため利用者が少ない理由が理解できるかと思います。

おすすめの遺言書は?

おすすめの遺言書とは3費用をほとんど書かずに作成するのであれば、法務局による自筆証書遺言保管制度を利用するのが最もリスクが少ないといえます。

あらゆる面において確実な遺言を残したい場合は、費用はかかりますが公正証書遺言をおすすめします。

おわりに

本記事では、遺言書の種類とメリットやデメリット、おすすめの遺言書とはどのようなものを指すのかを解説いたしました。

遺言は、ご自分が亡くなられた後の大切な人の生活を考慮して作成するものでもあるため、無効になる可能性を残したまま作成することは争いにつながるためおすすめできません。

まずは、法律専門家にどのような内容の遺言を作成するべきかを相談した上で、公正証書として仕上げることをおすすめします。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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