遺産分割調停は弁護士なしで進められる?弁護士に依頼するメリットを解説
「遺産分割調停を申し立てられた」
「でも、弁護士費用をかけたくない」
そのように考えて、遺産分割調停を弁護士なしで進められないだろうかと思う方もいます。
本記事では、遺産分割調停は弁護士なしで進められるのか、また弁護士に依頼するメリットについて解説いたします
遺産分割調停の手続きの流れ
その前提として、遺産分割調停の流れを簡単に確認します。
申立て→調停期日→調停成立
と調停が成立することもありますが、
調停不成立、審判移行→審問期日→審判
と審判に移行する場合があります。
このように聞くと、遺産分割調停の手続きは簡単なように思えます。
しかし、実際のところ、遺産分割調停の理解が浅い方にとっては、3つのハードルがあります。
1. 申立て
相続関係を証する戸籍謄本等を添付する必要があります。
相続人がよほど少なくない限り、必要な戸籍謄本等は多く、ここで挫折することが多いです。
2. 期日の準備
調停は、期日に出向けば何とかなる、というものではありません。
期日を充実させるためには、期日の準備、つまり主張書面や証拠の提出が大切です。
その際、争点ごとに、証拠→事実→法的評価という作業が必要です。
こうした期日の準備が素人の方にとっての第2のハードルとなります。
3. 期日
弁護士を依頼しない場合、期日に予定の都合をつけて、遺産分割調停を自分で出頭する必要があります。
慣れない期日対応は、それだけで遺産分割調停の理解が浅い方にとって、大きな負担となります。
また、遺産分割調停の管轄は、相手方の住所地の家庭裁判所にあります。
その裁判所が遠方の場合、電話会議、ウェブ会議を利用したいところですが、法律事務所以外から電話会議で参加することは、本人確認困難などの理由で、認めてもらいにくいのが実情です。
そうすると、裁判所が遠方の場合でも、結局自分で出頭しなければならないことになります。
そしてもちろん、期日中は、調停委員や相手方の出方に応じ、法的観点から臨機応変に対応することが求められます。
ことに相手方が弁護士をつけた場合は、こちらも弁護士をつけないと、対応が困難となります。
こうした期日の対応が、第3のハードルになります。
遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット
これまでのご説明で、遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットをお分かりいただけたかと思います。
申立て、期日の準備、期日の対応といった、遺産分割調停の知識を持たない方にとってわずらわしい作業を弁護士が肩代わりすることが可能なのです。
つまり、遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットは、
- 申立てを代理してくれる
- 期日の準備を肩代わりしてくれる
- 期日対応を任せられる、電話会議、ウェブ会議も利用できる
ということになります。
遺産分割調停を弁護士に依頼するデメリット
これに対し、遺産分割調停を弁護士に依頼する主なデメリットは、弁護士費用です。
先述の通り、遺産分割調停には申し立てや期日などなどさまざまな手続きや準備をしなければなりません。
依頼された弁護士はそれらの作業を代行するだけではなく、遺産分割に関して役に立つ情報の提供や提案を行います。
一般的に、弁護士費用は、2段構えとなっており、
- 着手金 30万円前後
- 報酬金 経済的利益の所定割合
になりますが、遺産や作業内容により金額が左右します。
弁護士費用については、調停後に分割した遺産を上回らないか、できる限りご相談時にお伝えします。
ただ、ご自身では解決できない場合、多少費用倒れになっても、遺産相続を終わらせる必要があるかもしれません。
おわりに
以上をまとめると、遺産分割調停を弁護士に依頼せずに進めるのはおすすめしません。
弁護士に依頼して遺産分割調停により取得する財産が弁護士費用を下回る場合は、費用倒れになります。
そのため弁護士に依頼せず、ご自身で対応するのも1つの選択肢である、ということになります。
ただ、費用倒れになるかどうかについても、素人の方にはわからないことが多いものです。
また、ときには費用倒れであっても、ご自身では解決できない場合、弁護士の力を借りざるを得ないかもしれません。
弁護士に依頼することを迷っている場合も含め、当事務所にお気軽にご相談いただければと思います。
最終更新日 2024年9月15日
最終更新日 2024年9月15日