相続放棄を証明するには?相続放棄申述受理証明書とは?取得方法や費用、利用場面
最終更新日 2024年9月15日
「相続放棄を証明するにはどうしたらいいのだろう?」
「相続放棄申述受理証明書って何?」
「取得方法や費用、利用場面は?」
今回は、そうした疑問にお答えしたいと思います。
相続放棄とは
相続放棄は、被相続人に借金などの負債があったり、その他の事情により相続関係から離脱したい場合などに家庭裁判所に申し立てをする手続きです。
簡単に流れを説明すると次のようになります。
- 申立書・添付書類の準備
- 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出
- 家庭裁判所から照会書(質問書)の送付(省略される場合あり)
- 照会書(質問書)に回答して返送
- 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書の送付
⑤までいくと相続放棄が認められたことになり「最初から相続人でなかった」ことになります。
戸籍上の被相続人との血縁関係がなくなるわけではないですが、相続関係についてはもともと相続人ではなかったものとして扱われることになります。
相続放棄が認められると、例えば被相続人の債権者から債務の弁済を求められても応じる必要はなくなります。
相続放棄を証明するには
ただ、口頭で相続放棄をした旨を伝えても、相続放棄の証明にはなりません。
そこで、相続放棄が認められた旨の証明書を提示することになります。
この証明書を「相続放棄受理証明書」といいます。
相続放棄申述受理証明書の取得方法
家庭裁判所にて申請書をもらうか下記の裁判所のホームページからプリントアウトして必要事項を記入します。
申請書には相続放棄した際の事件番号を記入しなければなりませんが、上記⑤で説明した相続放棄申述受理通知書に記載されています。
申請書が記入できたら以下のものを用意します。
- 本人確認ができる身分証のコピー(運転免許証、健康保険証など)
- 150円分の収入印紙(1通あたり)
- 返信用封筒(84円切手を添付したもの)
これらを管轄の家庭裁判所に郵送すると、同封した返信用封筒で証明書を返送してくれます。
家庭裁判所の窓口で申請する場合は即日に発行してもらえます。
相続放棄をした本人以外でも請求ができますが利害関係があることが要件となり、またその利害関係を証明書する書類を添付しなければなりません。
誰が請求するかによって利害関係書面は変わってきますので、家庭裁判所に問い合わせをした方がよいです。
また、事件番号がわからない場合には相続放棄受理証明書の請求の前提として下記の照会申請をしなければなりません。
相続放棄受理証明書が必要な場面
相続放棄受理証明書を取得する理由としてはいくつかありますが、他の相続人が被相続人の財産についての手続きをする場合に必要となります。
遺産分割協議はかならず相続人全員が出席して同意し遺産分割協議書に実印を押印した上で印鑑証明書を添付して手続きします。
不動産登記をするための申請や銀行手続きをする場合に提出することになります。
ここで相続放棄をした相続人も遺産分割協議に参加しないといけないか、という点は前述したとおり「最初から相続人でなかった」ものとして扱うので参加できません。
しかし、法務局や銀行に対して手続きするときは、何も添付しなければ単に相続人の一部が参加していない無効な遺産分割協議書になってしまいますから、相続放棄受理証明書を添付することによってその相続人が遺産分割協議の参加資格がないことを証明するわけです。
以前は、相続登記をする場合にはこの相続放棄受理証明書を添付しなければならず、相続放棄申述受理通知書では登記ができないとされていましたが、平成27年に取扱いが変更され、相続放棄申述受理通知書を添付して登記申請することができるようになりました。
相続放棄申述受理通知書は、前述のように家庭裁判所の審査が終わると、相続放棄をした本人に送られてくるものです。
例えば相続人がABCの兄弟姉妹であるような場合でCが相続放棄をしたケースであれば、ABからCに相続放棄申述受理通知書を貸してほしい旨依頼してこれを登記申請に利用するわけです。
相続登記をする際の相続放棄申述受理通知書は原本還付を請求することができますから、登記申請が終わったらCに返却すればよいのです。
ただし、ABCが仲違いしているような場面ではCは任意に貸してくれないかもしれませんので、その際は利害関係人からの相続放棄受理証明書を申請するケースとなります。
最終更新日 2024年9月15日