相続放棄すると代襲相続は起きません!しくみを1から解説!

相続放棄すると代襲相続は起きません!しくみを1から解説!

ちまたでは誤解が多いのですが、相続放棄では代襲相続は発生しません。

代襲相続とは、被相続人の子が、相続の開始以前に死亡するなどしたときは、その者の子がこれを代襲して相続人となることをいいます(民法887条2項)。

ここでは、代襲相続が起こる原因の整理と、相続放棄では代襲相続が発生しないことについて、詳しく説明します。

代襲相続の原因

死亡

代襲相続の典型ケースは、子が被相続人よりも先に亡くなっている場合に孫が被相続人の子の立場で相続人になる場合です。

例えば、被相続人がAとして、Aに配偶者Bと子CDがいる場合にはそれぞれの相続分割合はB4分の2(2分の1)、C4分の1、D4分の1となります。

ところが、CがAよりも先に亡くなっている場合にはCの子(EFとします)がCの立場で相続人になります。

この場合のEFの相続分は本来Cが承継するはずであった相続分4分の1を2人で分けますからそれぞれ8分の1になります。

ちなみに、EFのどちらかも先に亡くなっており、そのさらに子(Aのひ孫)が相続人となる場合を再代襲といいます。

この代襲相続は、被相続人に子供や親(祖父母)がおらず兄弟姉妹が相続人になる場合でその兄弟姉妹が先に亡くなっている場合にも適用されます。

すなわち、被相続人にとっては甥や姪にあたります。ただし、兄弟姉妹の場合には再代襲は適用されません。

さて、代襲相続が発生する原因には死亡のほかにどのようなものがあるでしょうか。

相続欠格

相続欠格とは、民法第891条にあてはまる者は相続人となる資格が剥奪されます。

(欠格事由)

一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族あったときは、この限りでない。

三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

相続欠格者となった者は相続人資格がありませんが、相続欠格者に子供がおれば代襲相続人となります。

廃除

相続放棄すると代襲相続は起きません!しくみを1から解説!2廃除とは、民法第892条に規定されており、遺留分を有する法定相続人が被相続人に虐待をした場合や重大な侮辱、著しい非行があったときは家庭裁判所に廃除を請求することができることになっています。

廃除は遺言でもすることができ、その場合には遺言執行者が家庭裁判所に廃除を請求します。

廃除されると被相続人の遺産に対して相続人として承継する権利がなくなります。

この場合に、廃除された者に子供がいる場合にはその子が代襲相続人となります。

上記①②の場合には、親が死亡以外の事由により被相続人の相続人となれない場合にその立場で代わりに相続人となるわけです。

相続放棄の場合

相続放棄すると代襲相続は起きません!しくみを1から解説!3では、相続放棄はどうでしょうか。

相続放棄も同じく相続権がなくなるわけです。

しかし、親が相続放棄をして相続人とならなくなってもその子は代襲相続人になりません。

というのも、民法第939条に「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」とあります。

この「その相続に関しては、初めから相続人とならなかった」わけですから、上の例ではAの相続についてCが相続放棄をすると、もともとCはAの相続人でなかったことになりますから、もともと相続人ではないCの地位をEFが継ぐことはありません。

これは、Aの相続の話ですから、Cの固有の相続財産はEFが承継することに変わりはありません。

では、少し踏み込んで今の事例と比較して以下の場合はどうなるでしょうか。

  • A 平成29年4月10日死亡
  • Aの配偶者B(存命)
  • Aの子C 平成25年1月20日死亡
  • Cの子 E(Cの相続放棄をした、存命)
  • F(存命)

結論からいいますと、EもFもAの代襲相続人になります。

FがAの代襲相続人となることは問題ないと思います。

Eも代襲相続人になれる理由は次のようになります。

Eが相続放棄したのは、Cの財産です。

すなわち、Eは初めからCの相続については相続人にならなかったわけです。

これを理解する上でポイントとなるのは「その相続に関しては」初めから相続人にならなかったものとみなすわけですから、Aの相続に関しては誰も相続放棄していないので、CがAより先に死亡している場合には、原則に戻り「死亡した子の相続人」となり、EもAの代襲相続人となるのです。

まとめ

今回は代襲相続のしくみ、特に相続放棄をした場合の代襲相続を中心に確認しました。

少し難しいと感じられた方は誰の相続放棄をしたのか、に焦点をあてて考えると理解できるかと思います。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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