遺産相続をおおまかに知りたい

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遺産相続の手続、方法、諸問題は、

  • 遺言がない場合
  • 遺言がある場合

で大きく分かれます。

以下、遺言がない場合とある場合とに分けてご説明します。

相続の流れ(全体図)

まず、遺言がない場合とある場合の相続の流れについては、大まかに言って以下のようになります。

相続の流れのフローチャート

遺言がない場合

遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割をすることになります。

遺産分割とは、相続人全員の間で被相続人の遺産を分けることです。

遺産分割の方法

遺産分割の方法には、

  • 現物分割(例えば、不動産はXさんに、預貯金はYさんに)
  • 代償分割(例えば、不動産をXさんが取り、その代わり、XさんはYさんにお金を支払う)
  • 共有分割(例えば、不動産をXさんとYさんの共有にする)
  • 換価分割(例えば、不動産を競売にかけ、その代金を分ける)
  • その他(例えば、不動産をXさんが取り、Yさんはその利用権を取る)

という方法があります。

遺産分割の手続

遺産分割には、

  • 遺産分割の協議
  • 遺産分割の調停
  • 遺産分割の審判

の3種類の手続があります。

遺産分割の協議

遺産分割は、相続人間でまず協議を行い、協議がまとまる場合、遺産分割協議書を取り交わします。

もし遺産分割の協議がまとまらない場合は、通常、遺産分割の調停を裁判所に申し立て、調停でも話がまとまらない場合は、裁判所が遺産分割の審判を行うことになります。

遺産分割の調停

遺産分割の調停は、相続人の1人又は数人が、残りの相続人を相手方として、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てて行います。
調停では、経験豊富な調停委員2名を仲介者として、相手方と交渉を進めます。

調停は月に1回程度ずつ行われ、調停委員は仲介者として、遺産分割がまとまるようにアドバイスをしてくれます。

合意ができると、調停調書が作成され、それにもとづいて相続を行うことになります。

遺産分割調停のポイント

調停を有利に進めるためには、調停委員にこちらの言い分を上手に伝えることが重要となります。

また、審判に移行することを想定して、法的な主張を尽くしておくことも大切です。

調停に当たっては、事前に弁護士のアドバイスを受けるか、弁護士に代理人として調停に出てもらうのがよいでしょう。

また、相手方が弁護士をつけてきた場合、こちらが弁護士を付けていないと、プロ対素人の構図となり、事実上不利に取り扱われるおそれがあります。

そこで、相手方が弁護士を付けた場合は、こちらも弁護士を付けることをお勧めします。

遺産分割の審判

遺産分割の調停が不調に終わった場合、自動的に遺産分割の審判に移行します。

審判では、裁判官が双方の主張を聞き、証拠を見た上で、審判を下します。

審判に不服がある場合は、2週間以内に即時抗告する必要があります。

遺産分割審判のポイント

遺産分割の審判は、法律と証拠に則って行われますので、弁護士の力を借りることが重要です。

遺産分割の前提問題

遺産分割の前提問題として、

  • 相続人の確定
  • 遺産の範囲の確定

が問題となる場合があります。

たとえば、調査の結果、戸籍に被相続人の子でないものが子として記載されていることがわかった場合、遺産分割に先行して、親子関係の不存在を確認する必要があります。

また、調査の結果、遺産の中に被相続人以外の者の財産が混入していることがわかった場合、それを除外しなければなりません。

遺産分割の前提問題を解決する手続

相続人の確定や遺産の範囲の確定について争いがある場合、遺産分割手続内で解決できればよいのですが、解決できない場合や、解決できても後日蒸し返されるおそれがある場合は、そうした前提問題を解決する法的手続を採る必要があります。

相続人の確定については、たとえば親子関係不存在確認調停を申し立て、合意に相当する審判などを得る必要がありますし、遺産の範囲の確定については、遺産確認訴訟を提起して判決を得る必要があります。

遺産の評価

また、遺産分割の前提として、遺産の評価も問題となります。

なぜなら、相続分がわかっても、総遺産の経済的価値がわからなければ、各相続人にどれだけの経済的価値を分ければよいかわからないからです。

特に問題となりやすいのは、不動産と非上場株式です。

特別受益と寄与分

遺産分割がスムーズに進まず、揉めてしまうケースとして、特別受益と寄与分の問題があります。

特別受益とは

特定の相続人が、被相続人から生前に受けた特別な利益のことです。

例えば、相続人のうちの1人が生前に自宅の建築資金を出してもらった、マンションを買ってもらった、などです。

このような場合、そうした利益を相続財産の前渡しと見なして、特別受益を受けた相続人の相続分を特別受益の分だけ減らすことで、相続人間の公平を図ることが認められています。

  • 相続人の1人が、生前に被相続人に自宅を買ってもらった
  • 相続人の1が、生前に被相続人から、自宅の建築資金を出してもらった
  • 相続人の1人が、生前に被相続人から、生活費の援助を受けていた
  • 被相続人の預金口座から、多額の使途不明金が支出されており、相続人の誰かが受け取った可能性がある

このような場合は、特別受益の持戻が認められる可能性がありますので、弁護士にご相談ください。

寄与分とは

相続人の中で、被相続人の財産形成または維持に特別の寄与をした者に、法定相続分以上の財産を取得させ、実質的な公平を図る制度です。

  • 親の家業に従事して財産を増やした
  • 親の介護をして介護費用の支出を抑えた

このような場合は、寄与分が認められる可能性がありますので、弁護士にご相談ください。

遺産分割を弁護士に依頼するメリット

遺産分割の争いは、疑心暗鬼になっている身内間の争いであり、法律の誤解や人間関係に基づく感情的なしこりが解決の障害になることが多いといえます。

そこで、法律専門家である第三者が一部の相続人の代理人として他の相続人との間で交渉などをした方がスムーズに解決することが期待できます。

遺産分割でお困りの際は、お気軽に当事務所にご相談ください。

遺言がある場合

遺言がある場合、主に、遺言の効力、遺留分、特別受益が問題となります。

遺言の効力

遺言がある場合、まず、遺言そのものの効力が争われます。

遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言(あまり使わない)、公正証書遺言の3種類があり、それぞれの遺言には、それぞれの方式が必要です。

ですので、遺言が方式を欠く場合、遺言が無効となるおそれがあります。

また、遺言の際、遺言者に遺言能力が必要です。
ですので、遺言の際、遺言者がひどい認知症など、遺言能力を欠いていた場合、遺言が無効となります。

遺言が無効の場合、結局、遺言がない場合と同じになります。

遺留分

遺言がある場合、次に争われるのは、遺留分です。
遺留分とは、相続に際して、被相続人の財産のうち、一定の相続人に承継されるべき最低限の割合のことです。

そもそも、遺言がある場合、遺言どおりに遺産相続がなされるのが原則です。
しかし、遺留分を侵害された相続人は、贈与や遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害額の支払いを請求することができます。

例えば、遺言や生前贈与で、

  • 全財産を長男に譲る
  • 全財産を愛人に譲る

としたような場合に、遺留分侵害額の支払を請求することができます。

各相続人の遺留分として定められているのは、以下のとおりです。

  • 直系尊属のみが相続人である場合・・・被相続人の財産の3分の1
  • それ以外の場合・・・被相続人の財産の2分の1

※兄弟姉妹には遺留分はありません。

弁護士に相談した方がよいケース

  • 遺言書が見つかったが、自分の取り分が少ない
  • 父の愛人に遺産が行くのは納得がいかない

このような場合は、遺留分を取ることができるかも知れません。

ご相談の流れ

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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