遺産分割調停を電話会議やWEB会議でできると聞いたが、実際はどうなのか?

電話やウェブ

最終更新日 2024年10月10日

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ここでは、遺産分割調停を電話会議やウェブ会議ですることについて、実際はどうなのか、知ることができます。

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音声の送受信による通話の方法による手続

家事事件手続法285条1項・54条は、「音声の送受信により同時に通話をすることができる方法」により調停期日を行うことができる旨を定めています。

ここで「音声の送受信により同時に通話をすることができる方法」とは、電話やウェブ会議のことです。

弁護士を代理人に選任したケース

遺産分割調停においては、申立てをするほう(申立人)も、申し立てをされたほう(相手方)も、どちらも弁護士を代理人に選任することができます。

弁護士を代理人に選任すれば、裁判所への出頭を含め、全てを弁護士に任せることができます。依頼者は、最後まで裁判所に出頭する必要はありません。

では、依頼を受けた弁護士はどうするのかというと、遠方の場合は電話会議システムを利用するのが通常です。電話会議システムといっても大したものではなく、マイクとスピーカーが付いた特注の電話機をテーブルの上に置き、裁判官が弁護士に電話をかけて行うというものです。

遺産分割調停であれば、調停委員が弁護士に電話をかけることになります。

弁護士は、民事事件において日常的に電話会議システムを利用しています。

そのため、家庭裁判所が遠隔地のときは、家事事件手続法285条1項・54条ができる前でも、民事事件と同じ感覚で家庭裁判所に対し電話会議システムの利用を求め、家庭裁判所もそれに応じていました(電話でのやり取りが正式な期日として扱われていたのかどうかは分かりませんが、調停は裁判所を通じた話し合いにすぎませんので、裁判所としても、調停成立時には出頭を求めるとしても、途中の期日で厳格に出頭を求めても意味がないと考えていたのかもしれません)。

もっとも、今では家事事件手続法285条1項・54条がありますので、最初から最後まで出頭することなく、電話会議システムを利用して遺産分割調停を成立させることができます(ちなみに、同じ家事調停であっても、離縁や離婚の調停については、途中までは電話会議システムを利用して行うことができますが、調停を成立させるためには出頭しなければなりません。家事事件手続法268条3項)。

弁護士に依頼せず、自分でやるケース

裁判所前述したとおり、弁護士が代理人であれば、法律事務所の代表電話や、場合によっては弁護士の携帯電話に裁判所が電話をかけてくれますので、簡単に電話会議システムを利用することができます(裁判所がどの番号に電話をかけて電話会議システムを行ったのかは期日調書に記載されることや通信環境の安定性から、通常は法律事務所の代表電話を指定しますが、どうしてもやむを得ない事情で弁護士の携帯電話を指定せざるを得ないときもあります)。

これに対し、当事者本人のときは、裁判所はそのような配慮はしてくれません。

自宅の電話を使って電話会議システムを利用したいと希望しても、裁判所がそれを認めることはありません(理由は明らかにされていませんが、本人確認の問題であろうと思われます。日弁連の公式サイトで検索すると、弁護士の所属する法律事務所の代表電話が掲載されていますので、なりすましを危惧せずに済みます)。

そのため、これまではどれほど遠方であっても、調停に参加したいのであれば、毎月(調停期日は毎月1回の頻度で開催されます)、裁判所に行くしかありませんでした。

しかし、2018年4月、全国の全ての裁判所(本庁、支部、主な独立簡裁)にテレビ会議システムが導入されました。

調停が開催される遠方の裁判所に出頭しなくても、自宅から最寄りの裁判所に出頭すると、その裁判所の一室に設けられたテレビ会議システムを調停が開催される裁判所につないでくれますので、テレビ画面越しではあるものの、互いの顔を見ながら調停に参加することができます。

もっとも、弁護士が代理人であるときのように常に認められるわけではありません。

調停が開催される遠方の裁判所に事前に頼み、その許可を得る必要があります。

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まとめ

このように、遠方等の理由で遺産分割調停をする裁判所に出頭できないときは、自宅から最寄りの裁判所のテレビ会議システムを利用することができます。

遺産分割調停についてお困りのときは、当事務所までお気軽にご相談ください。

最終更新日 2024年10月10日

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
東京大学経済学部卒。姫路で家事事件に注力10年以上。神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。FP1級。

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