配偶者居住権は、どのような場合に消滅するのか?老人ホームに入ったらどうなるか?

配偶者居住権は、どのような場合に消滅するのか?老人ホームに入ったらどうなるか?

配偶者居住権は、どのような場合に消滅するのか?

老人ホームに入ったらどうなるか?

ここでは、そうした疑問にお答えしたいと思います。

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配偶者居住権の消滅

配偶者居住権は、相続財産の中から不動産に居住する権利を不動産の所有権とは分けて評価して、主に高齢になった配偶者の住む場所を確保することを目的とする制度です。

この制度趣旨から、配偶者居住権は被相続人の配偶者が死亡する時まで権利を持続させることが適していると考えられますが、民法第1030条にはこのように規定されています。

(民法第1030条)

「配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。」 

ただし書き以下では「終身の間以外の定めもできる」としていますから、遺産分割協議などで「相続開始の日から10年間存続するものとする」という定めをすることもできるわけです。

つまり、「存続期間に定めがなければ配偶者が死亡するまで」→「存続期間を定めたのであればその期間満了をもって配偶者居住権は消滅する」ということになります。

ちなみに、配偶者居住権は被相続人の配偶者を保護するための権利ですから、配偶者が死亡した場合でも配偶者居住権が配偶者の相続人に相続されることはなく消滅します。

民法第1030条に規定されたこの2つの権利消滅事由はご理解いただけたかと思います。

今回はもう少し踏み込んでその他の配偶者居住権が消滅するケースをみていきます。

①建物が滅失した場合

配偶者居住権は、どのような場合に消滅するのか?老人ホームに入ったらどうなるか?2天災や火事などにより、建物自体が滅失・焼失してしまったような場合には、そもそも居住できる場所がなくなりますから、これに伴い配偶者居住権も消滅します。

②配偶者が建物の所有権を取得した場合

一般的には相続の際に配偶者居住権を配偶者が、不動産の所有権はその他の相続人が取得しますが、その後になんらかの事情により配偶者が建物の所有権を取得することになったような場合には、自分の所有物をどのように使用するかは自由ですから配偶者居住権を設定する意味がなくなり消滅します。

ただし、配偶者だけの単独所有ではなく、他の人との共有である場合(例えば配偶者2分の1、その他の相続人2分の1など)には配偶者居住権は消滅せずに存続します。

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③配偶者が権利を放棄した場合

配偶者居住権は、どのような場合に消滅するのか?老人ホームに入ったらどうなるか?3配偶者居住権の存続期間内であっても、配偶者がその建物に居住する必要がなくなったような場合に、配偶者が配偶者居住権を放棄すると消滅します。

例えば、足腰が弱くなり生涯を老人ホームなどの施設で暮らすことにした場合などは自宅に戻る可能性が極めて低く、配偶者は居住権を放棄して老人ホームに入所することができます。

④建物の所有者からの消滅請求がされた時

民法第1032条に配偶者居住権を設定した配偶者の義務を規定しています。

①善管注意義務

→善管注意義務とは、簡単にいいますと「その地位の人が通常社会的に期待されるレベル扱いをすること」です。

ですから、建物に住む権利があるからといって建物を雑に扱ったりすることは許されないということです。

普通にマンションを賃貸した場合と同じレベルの話です。

②配偶者が所有者に無断で第三者に建物を使用収益させることの禁止

→勝手に誰かに建物を使わせたり貸したりしてはいけない、という意味です。

③所有者に無断で建物を増改築することの禁止

→あくまで所有権は他の人にありますから、勝手に増改築やリフォームをしてはいけません。

すべて、ご自身が部屋を借りて住む時に求められる義務と同じようにお考えいただくとわかりやすいと思います。

この①〜③に規定する義務に配偶者が違反した場合には、所有者は配偶者に対して期間を決めて通常の状態にするように催告することができ、もし改まらない場合には消滅請求をすることができます。

配偶者居住権の登記

最後に配偶者居住権の登記についても少し触れておきます。

登記記録に権利を記載する目的は「誰に対しても自分の権利を主張する」ことにあります。

権利自体は遺産分割協議で取得したとしても、自分の権利を他人に主張する場合、日本では登記や登録制度のあるもの(車や不動産など)はその登記・登録を要します。

所有者が誰かに不動産を賃貸して、その第三者からその建物に住む権利を主張された場合に「私がこの建物に配偶者居住権を設定しています」と判断に主張するには登記が必要ということです。

ですから、配偶者居住権を設定した場合には司法書士に依頼して登記申請をするようにしてください。

また、配偶者居住権が消滅した場合には、配偶者居住権の登記を抹消する登記を忘れずにしましょう。

まとめ

今回は、配偶者居住権の消滅について解説してきました。

配偶者居住権は、原則として終身の間存続させることを想定した権利ですが、別途存続期間を定めることができること、また存続期間中に消滅することもあることを確認いただけたらと思います。

この記事の監修者
弁護士・監修者
弁護士法人ひいらぎ法律事務所
代表 社員 弁護士 増田 浩之
開所以来、姫路エリアに密着し、離婚、相続などの家族問題に注力して10年以上。現在、神戸家庭裁判所姫路支部家事調停委員。

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