代襲相続はどこまで起こるのか? パターン別にわかりやすく解説

「親が亡くなる以前に子が亡くなっていると、孫が相続人になると聞いた」
「では、孫も亡くなっていたらどうなるか」
「子がおらず、死んだきょうだいの子がいた場合は?」
など、代襲相続の範囲ついて、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ここでは、代襲相続はどこまで怒るのか、パターン別に解説します。
相続人と相続順位
相続関係と順位、相続分割合は民法の中で明確に規定されています。
簡単に確認しますと、
- 「配偶者」 いれば必ず相続人となる
- 「直系卑属」 第一順位相続人
- 「直系尊属」 第二順位相続人
- 「兄弟姉妹」 第三順位相続人
となります。
相続分割合は、各順位の相続人と配偶者がいる場合に変わってきます。
- 「配偶者と第一順位相続人」 配偶者2分の1、第一順位相続人2分の1
- 「配偶者と第二順位相続人」 配偶者3分の2、第二順位相続人3分の1
- 「配偶者と第三順位相続人」 配偶者4分の3、第三順位相続人4分の1
となります。
代襲相続とは
代襲相続とは、被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときに、その者の子が相続人となることをいいます(民法887条2項)。
次のケースでどのようになるのかをみてみましょう。
(相続関係)
- 被相続人A 令和4年1月20日死亡
- 配偶者B 存命
- 子 C 平成30年5月15日死亡
この場合は本来であれば配偶者Bと子Cが相続人となるところ、第一順位の子供が被相続人よりも先に死亡しておりAには他に子供がいないことから第二順位の親に相続順位が回るものと思われます。
しかし、この場合において、Cに子供がいれば(被相続人Aの孫)その孫がCの立場で相続人となります。
これを代襲相続といいます。
ではこの例において、Cに子供がDE2人いた場合にはこの相続における相続分割合は下記のどちらになるでしょうか。
①配偶者3分の1、D3分の1、E3分の1
②配偶者2分の1(4分の2)、D4分の1、E4分の1
①は3等分という考え方で②は本来亡きCが相続するはずであった相続分割合の2分の1をDEの2人で頭割りするという考え方です。
代襲相続は「Cの子がCの立場で相続人となる」のですから、正解は②となります。
Cが相続するはずであった相続分割合を超えることはありません。
では、この例において、EもAより先に死亡している場合にEの子供FGHの3人(Aのひ孫)がいる場合はさらに代襲相続は起こるのでしょうか。
これを「再代襲」といい、さらに再々代襲も理論上はあり得ます。
この例におけるBDFGHの相続分割合も確認しておきましょう。
Bは2分の1で変更ありません。
DはCの相続するはずであった相続分を亡きEと本来なら分けるわけですから4分の1、FGHは亡きEが相続するはずであった相続分4分の1を3人で頭割りすることになりますから、各12分の1となります。
したがって分母をそろえますと、B12分の6、D12分の3、FGHが各12分の1となります。
直系卑属以外の代襲のパターン
第三順位のパターンを説明します。
(相続関係)
- 被相続人A 令和4年1月20日死亡
- 配偶者B 存命
- 子供 なし
- 親・祖父母(直系尊属) 全員死亡
- 兄C 存命
- 姉D 存命
- 弟E 令和2年7月2日死亡
このケースは、配偶者と第三順位が相続人となるパターンです。
兄弟姉妹が相続人となりますから弟Eも含めると本来の相続分割合は、Bが4分の3(12分の9)、CDEが各12分の1となるところですが、兄弟姉妹のうちEがすでに亡くなっていますから、兄弟姉妹は2人となり第三順位の相続分割合4分の1を2人で分けると各8分の1となります。
ここで仮にEに子供FGH(被相続人Aの甥・姪)がいる場合は結論が変わります。
FGHは代襲相続人としてEの立場で相続することになりますから、本来Eが相続するはずであった相続分割合12分の1を3人で頭割りします。
したがって、全員の相続分割合を同じ分母にそろえますと、Bが36分の27、CDが各36分の3、FGHが各36分の1となります。
このように第三順位の兄弟姉妹が相続人となるケースにおいても代襲相続は起こりますが、直系卑属との違いは「兄弟姉妹には再代襲がない」という点です。
上の例では、仮にAの甥Fも先に死亡していた場合でも、Fの子供は代襲相続しません。
まとめ
今回は代襲相続について解説してきました。
初めて代襲相続についての説明を読まれる場合には、相続する人数が増えるケースの相続分割合がややこしいと思われるかもしれませんが、理屈上は難しいものではありませんので、ご自身で図を描きながらお考えになると整理できると思います。